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2011.03.08

「幸せ経済社会研究所」設立記念シンポジウムより、設立の思いと今後の活動について

「幸せ経済社会研究所」設立記念シンポジウムより、設立の思いと今後の活動について

2011年3月4日、たくさんの方にご来場・ユーストでご覧いただきながら、「幸せ経済社会研究所」設立記念シンポジウム~幸せと経済と社会との関係を見つめ直す~を開催することができました。

「参加費はビッグイシュー1冊」もよかった!という声もたくさんいただき、うれしく思っています。「初めて買ってみました」「初めてホームレスの方と言葉を交わしました」などなど。会場にはビッグイシューの方も来てくださいました!

設立記念シンポジウムの冒頭、設立の思いと今後の活動について、お話しさせていただきました。以下、ご紹介します。映写した資料はこちらにあります。
http://ishes.org/news/2011/inws_id000010.html

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~
皆さま、こんにちは。今日は、この設立記念シンポジウムに来てくださって、本当にありがとうございます。たくさんの方に来ていただけて、そしてこの新しい研究所の活動を皆さんと一緒に始めることができて、とてもうれしく思っています。

今日のこのシンポジウムには、マスコミ、メディアの方も来てくださっていますし、のちほど、ブータン国営テレビ局のクルーも撮影にいらっしゃると聞いています。あと、政府の関係の方、新成長戦略を作っていらっしゃる担当の部署の方も来てくださっています。

「この会場には来られないけれど、ぜひ内容を知りたい」というお声もたくさんいただいていて、今、Ustream で放映をしています。「遠くなので来られないけれど、自分の近くでビッグイシューを買って、今日はユーストを見ます」と言ってくださっている方もいて、うれしく思っています。

私はこれまで、いろいろな主体者をつなぐような活動をずっとしてきました。政府の委員会で活動することもありますし、自治体、企業、NGO、それから教育機関、さまざまな所で、いろいろな方々をつなぐような活動をしてきました。

もう1つ、日本の中だけではなくて、世界とのネットワークをつくるという活動もしてきました。これは主に、2002年に立ち上げたNGO・ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)を通じて活動してきました。今回、このJFSの協力を得て、新しい活動として始めるのが、今日ご案内を差し上げました幸せ経済社会研究所です。

最初に少し時間をいただいて、どのような思いで、どのような目的でこの活動を立ち上げたのか、そしてこれから何をやっていこうとしているか、お話をさせていただければと思います。その前に1つ、小さなお話をします。

むかしむかし、あるところに、ある村がありました。その村では、毎日オンドリがときの声を上げると朝が来ると信じられていました。オンドリが鳴くから朝が来る。そのように信じられていました。ですから村の人たちは、オンドリが、日が1日たつとまた鳴いてくれるように、捧げ物をしてあがめ奉り、ひざまずいて、オンドリを非常に大切にしていました。

ところがある日、オンドリが寝坊してしまいました。オンドリが鳴かないのに、いつもと同じように朝が来たのです。それを見た村の人たちは、オンドリが鳴くから朝が来ると思っていたけど、実は関係なかったんだということを知りました。それからは、村の人たちは、オンドリをあがめ奉るということはやめました。

......あるときこの話を聞いた時に、私たちとGDPという指標もしくは経済成長という考え方と重なるんじゃないかなと思いました。どうでしょう?

今、日本だけではなくて世界的に、このままではだめだという思い、もしくはその証拠がたくさん挙がっていると思います。その1つは地球環境の悪化です。温暖化もそうですし、生物多様性もそうですし、地域の環境を見ても、あちこちでうまくいかなくなっている。このままだと大変なことになると思っている方が増えている。

もう1つは社会の危機です。たとえば自殺する人の数が減らない。いろいろなメンタルな問題を抱える人が増えている。ストレスが増えていることを実感されている方も多いんじゃないかと思います。また社会の中で、それぞれ孤立してしまったり、1人でやっていかないといけない。いろいろな社会、家庭、教育の問題が起こっていると思っています。このままではだめだという認識は広がっていると思います。

その一方で、今、日本の中でも世界の中でも、いろいろな現場での取り組み--個人レベルや地域レベルでの取り組みが広がっています。よく知られている例として、広がりつつあるのが、たとえば「半農半X」。自分の時間の半分を使って農業をやって、自分や家族の食べ物を作って、残りの半分の時間で、自分がやりたいこと、やっていきたいと思っていることをやろう。そういう生き方を選ぶ人が増えています。

それから「地産地消」。日本の中でも自治体でも地域でも力を入れていますし、世界的には、Community Supported Agriculture(地域が支える農業)が広がっています。

それから、これから日本のとても大きな貢献の1つになると思いますが、「地元学」という考え方、アプローチがあります。これは地元に学ぶということです。地方はよく「東京に比べるとうちは何もない」とよく嘆くわけですが、ないものを嘆くんじゃなくて、ありもの探しをして、自分たちの地域を自分たちで再発見して、地元に学びながら地域をつくっていこう。そういう動きです。

それから「地域通貨」。これも日本の中でも世界でも、いろいろな取り組みがありますよね。また、日本では「降りてゆく生き方」という映画が、自主的な上映としてあちこちで広がっています。「降りてゆく生き方」をそのまま英語にすると、「ダウンシフティング」という言い方になるんですが、世界的に、お給料を減らして、でも自分の時間や幸せを増やそうという選択をする人が増えている。そういった人たちを「ダウンシフターズ」と呼びます。

ちなみに、今年4月23日から29日までは「国際ダウンシフティング週間」なんですって。「みんなでダウンシフトしようよ」というふうに呼び掛けている国際的なネットワークも世界にあります。

それから「xChange」。これは、日本の中で最近聞かれるので、ご存じかもしれません。Exchangeというのは交換するという意味ですが、自分の着なくなった洋服を、みんなで持ち寄って交換する。フリーマーケットだったら売るのですけど、ここでは売るのじゃなくて、ほんとに交換。いらなくなったものを持っていって、自分が欲しいものがあったらもらってくる。3着出してもらわない場合もあるし、持って行かなくても、欲しいのがあったらもらってきていい。

写真のここに小さな札が付いているのが見えるかと思いますが、単に衣類を交換するのではなくて、自分はこれまでどんな思いでそれを着ていたのか、どんな人に使ってほしいのか。その思いをタグに付けて、洋服に付ける。そして交換するんですね。モノだけではなくて思いも交換する。そんな取り組みが、日本でも今、広がっています。

日本のこういった動きを見ていて、私はよく「3脱」というふうにそれをまとめて、お話をします。これは、国際会議とか日本以外でお話をしても、「とても面白い」とよく言われます。

1つ目の「脱」は、「暮らしの脱所有化」です。モノを持つことで暮らしを成り立たせてきたけれど、今はそうじゃなくて、たとえば必要だったら借りればいいし、共有すればいいし。ですから、車を持つということが大事ではなくて、車で移動する必要があったら、レンタカーでもいいし、カーシェアリングだっていいし。今、おうちもシェアハウスといって、みんなで1軒のおうちをシェアする。そういう若い人たちも増えています。暮らしを所有しないで成り立たせるような人たちも増えている。

2つ目の「脱」は、「幸せの脱物質化」です。モノを買うこと、モノを持つこと、物理的なモノが幸せの源泉だと信じてきた時代が長かった。だから、たとえばブランドのものを買うとか、ショッピングに行くとか、グルメとか、そういったことが幸せだと思われていた。もちろん今もそういう人もたくさんいますが、でも今では、そういうモノよりも、人とのつながりとか自然とのつながり、こういったところに幸せを感じる人が増えている。

たとえば、私も一緒にやっていますが、「100万人のキャンドルナイト」という、2時間電気を消してゆっくり過ごそうという、その呼び掛けに1,000万人が参加する。それが今の日本です。

それから山ガールが増えているというというのも、自然とのつながりを求める人たちが増えている証拠かな? 農業もブームですし。

最後の「脱」は、「人生の脱貨幣化」です。自分の時間を差し出して、その対価としてお金をもらって、それで人生を成り立たせるというモデルを、これまで大多数の人が使ってきた。しかし、そうじゃなくてもいいんじゃないか。

何で、最大限時間を差し出してできるだけお金をもらうかと言うと、食べ物を買うお金がないと困るからです。食べていかないと生きていけません。なので、そうではなくて、先ほどの半農半Xのように、時間とお金のバーターではなくて、自分で必要なものは作ろう。そういう動きも増えています。

そういう意味で言うと、私は、日本はライフスタイルというか、価値観の先進国じゃないかなと思います。こういう3脱の話を、たとえばスウェーデンとかアメリカとかで話しても、とてもびっくりされる。「そこまで日本の若い人たちは進んでいるのか」「こういった価値観が早く世界に広がるといい」とよく言われます。

このあたりの考え方や実際の取り組みは、最新刊『「エコ」を超えて』にあります。単なるエコだけじゃなくて、ほんとに必要なのは幸せな未来をつくることだよね。そのときの考え方や実践例をまとめた本を、JFSと一緒に出しました。

『「エコ」を超えて―幸せな未来のつくり方』 枝廣淳子+ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)著
http://www.amazon.co.jp/dp/4907717075?tag=junkoedahiro-22

このような動きを見ても思うのは、今、欠けているものがあるということです。今お話をしたように、かたや、このままじゃだめだという認識が広がっている。そしてもう一方では、個人レベルや地域レベルでいろいろな新しい取り組みが広がっている。

ですけど、たとえばダウンシフターズとか、モノを買わないという話をすると、「じゃあ、みんながそうやってモノを買わなくなったら、日本の経済はどうなるんですか?」「それで日本は生き残れるんですか?」。そういう話になります。もっともだと思います。

ですから、個人レベルや地域レベルでいろいろ必要な模索をしている人たちはたくさんいるけれど、それをもう少し大きな枠組みで、じゃあ、そういった動きが、どういう要素として、新しい経済モデルの中にどう位置づけられるのか。新しい社会モデルの中にどう位置づけられるのか。

これがないと、「トランジションタウンとかそういうことをやっている、そこはいいけど、じゃあ残りはどうなの?」という話が必ず出てきてしまう。そういった意味で言うと、もっと大きな新しい社会・経済のモデルが必要になっている。その必要性を生み出しているのは、このままじゃいけないという意識だし、その具体的な取り組みとして、さまざまな動きが今出てきている。

ここの大きな経済モデル、社会モデルが今のところないのではないだろうかと思っています。これをぜひ、私たちの研究所で一緒に考えていきたいと思っています。

そもそも、地球の大きさは決まっています。46億年前に地球ができてから1ミリも大きくなっていない。しかし、その上で人間の影響がどんどん大きくなってきた。人口が増え、経済が大きくなり、たくさんのものを地球から取り出して、たくさんのものを地球に排出するようになってきた。

今、人間の影響は地球よりも大きくなっている。エコロジカル・フットプリントという指標がありますが、地球全体で、今地球は1個では足りない。人間の活動を支えるのに、地球は1.4個もしくは1.5個必要になっている。

温暖化も生物多様性の危機も、この根本的な状況の1つの症状として表れていると思っています。ですから、温暖化が問題なわけではない。生物多様性が問題なわけではない。それは症状です。本当の問題は、地球は1個しかないのに、地球1個分を超えてしまっているという、私たち人間の活動にあると思っています。

つまり、今のままでは経済成長を続けることは持続可能ではない。もう今ですら1を超えているわけですから。これはもう、温暖化、生物多様性、何を取っても明らかだと思います。

その一方で、このループ図はちょっと複雑なので、少しだけ説明をしますね。これは、今の私たちの経済・社会の構造がどうなっているかを少しだけ描いたものです。

技術を一生懸命進歩させて労働生産性を上げる。これは企業にとってすごく大事なことですよね。前、10人でやっていたものを9人でできるようになれば、その分だけコストが下がって利益が上がるし、さらに投資ができて、技術開発に回せてという、ここで正のフィードバックループが回ります。企業にとっては好循環ですね。コストが下がるとそれだけ価格が下げられるから、需要が増えて、売上げが伸びてという、ここにもまたそういうフィードバックループがあります。

その一方で、価格が下がって需要が増えると、それだけたくさん作る必要が出てくる。生産規模が大きくなるわけですね。それだけ工場を造ってラインを作ると、そこで働く人が必要になる。雇用が必要になります。ここまではわかりますよね。

ところがもう一方で何が起こっているかと言うと、労働生産性を上げるということは、ほかの条件が変わらなければ雇用を減らすことになります。10人でやっていたのが9人になれば、労働生産性は上がるけれど、雇用は1人分失われるわけですよね。

ですから雇用のところを見ると、「生産規模が大きくなって雇用が増える」ということと、「労働生産性が上がることによって雇用が減る」という、このどちらが大きいかによって、雇用が守れるか、減ってしまうか増えるかが決まります。

雇用がなくなってしまうと失業が増えて、さまざまな問題が起こりますから、雇用を維持しようとすると、労働生産性の改善で雇用が減る分よりも生産規模を上げ続けないといけない。技術の開発をして、企業が一生懸命、労働生産性を上げ続ける限り、それ以上に生産規模を拡大し続けないと、社会の安定が保てないという構造になっている。

つまり、今のシステムのままで、「経済成長をやったら地球つぶれるから、経済成長やめましょう」と言うと、今度は社会のほうが不安定になっちゃうということです。今の社会、経済の仕組みは、経済成長を前提として構造化されています。ですから、「地球を守るために成長はやめましょう」と言っても、それでは別の問題が起こってしまう。これが「経済成長のジレンマ」と呼ばれているものです。

まとめると、経済成長を続けることは、地球的に言えば、環境的に言えば、持続可能ではない。けれど、今のままの形で経済成長を止めると、それは社会を不安定にしてしまう。ジレンマですよね。じゃあ、どうしたらいいんだろう......?

この課題を、私たちの研究所では考えていきたい。こういったことを考え、取り組んでいる世界きて、また日本で考えたことを伝えていきたいと思っています。

1つのスタートポイントとして、そもそも私たちは何に支えられて、何のために生きているのか、ということを考えることができると思います。

あまり日本では知られていないんですが、ハーマン・デイリーという経済学者がいます。「定常経済」ということを言っている人ですが、この人のコンセプトの1つに、「ハーマン・デイリーのピラミッド」という考え方があります。

一番底辺にあって、すべてのものを支えているのは自然資本。自然、環境ですね。ここから私たちはいろんなものを取り出して、そしてそれを原材料にしたり、工場を造ったり、つまり経済へのインプットとして使います。その経済のインプットを使って、さまざまなモノを作ったり、サービスを提供したりしている。それは何のためにやっているかと言うと、そのモノとかサービスが究極の目的ではなくて、それはすべからく人間の幸せのためだと思います。私たちが幸せに生きていくために、そういったものが必要だと。こういったつながりになっているんですね。

ただ、今の私たちの経済・社会の仕組みは、この真ん中にしか焦点を当てていない。どれだけの原材料からどれだけのモノを作りましたか?--そこの効率ばかり考えている。そのインプットはどこから来たのか、それはどういう状況になっているのか、そもそも作ったものは、究極の目的である幸せにどれぐらいつながっているのか。そういうことは考えないで、この真ん中だけを今、一生懸命考えている。経済も政治もすべて、今そうなってしまっている。

そうではなくて、もともとその基盤はどうなっているんですか? そして、究極の目的にどれぐらいつながっているんですか? これを考えていかないといけない。

ハーマン・デイリーのピラミッドを使うと、少なくても3つ見ていく必要がある。1つは、究極の目的である「幸せ」ですね。これが、一部の人ではなくて、たくさんの人たちの幸せにつながっているのか。2つめは、先ほど言いましたが、この狭いところの効率だけではなくて、自然資本をどれぐらい使ってどれぐらい幸せがつくれたんですか? という、その一気通貫の大きな効率を見ないといけない。

そして、3つめに、もともとの土台である自然資本が、どれぐらいちゃんとしているんですか、このまま使い続けられるんですかということを考えないといけない。こういったハーマン・デイリーのピラミッドは、考える上での1つの枠組みになると思っています。

こういった形で、幸せだけではなく、経済だけではなく、幸せと経済と社会の関係性とその全体を考えていくこと。これがないと、持続可能性というのはあり得ないんじゃないかと思っています。

環境を守るだけの持続可能性もあり得ない。社会がどうなるんだという話になる。だけど、社会の安定性のためだけに、今の持続不可能な経済成長を続けることもきっとできない。そういった全体を、この研究所では考えていきたいと思っています。

このような考え、もしくは取り組みについて、今世界の各地でいろいろな動きが起こっています。あとでアランからそういった話をしてもらおうと思っていますが、少なくても日本の中でも、内閣府が「幸福度に関する研究会」というのを立ち上げて、今まさにパブリックコメントもしています。つまりGDPだけではない指標を考えようということを、いくつかの政府が今始めています。こういった動きとの連携を取りながら、必要な情報交換やインプットをしながら進めていきたいと思っています。

今後の活動は、今大きく5つの領域で考えています。

1)調査・研究。たとえばグローバルに今どういう動向になっているかという調査を行ったり、もしくは日本の人たちがGDPをどう考えているかという世論調査を自分たちで行ったりしていきます。

2)セミナー・勉強会。経済については、幸せについて考える文献は今たくさん出ている。それを読んでいきたい。一緒に考えていきたいと思っています。

それから、たとえばダウンシフターズとか、半農半Xとか、トランジションタウンとか、現場レベルでのいろいろな取り組みがある。そういった取り組みをされている方に来ていただいて、実際そこで何が起こっているか、何を学ぶことができるか。そういった情報共有もここでやっていきたいと思っています。

3)情報発信。そして、こういったものをどんどん、ウェブ等を通じて情報発信をしていきます。

4)世界とのネットワーク。今日のアランが来てくれたのもその1つですが、世界の動向もしくは実践者とのネットワークを、主にJFSのチャンネルを使って広げていきたいと思っています。

5)対話の場づくり。もう1つ大事なのは、対話の場を提供して一緒に考えていくということです。これについては、またあとで話をします。

研究所を1月に立ち上げて、最初にやったのが「中国にGDP抜かれました」というニュースが出た時に、それを一般の人はどう考えているのかという世論調査です。その時マスコミでは、「中国に抜かれて日本は情けない」とか、「このままだと中国の植民地になる」とか、かなり感情的な報道もありましたが、500人の一般の方に聞いた時には、半分以上の人が「あまり気にしていないよ」「それはたいしたことじゃない」という答えでした。

そして、それよりも私が聞きたかったのは、「GDPが伸び続けるということは必要」だと思っているか、そして「可能」だと思っているか。これについて聞いてみたんですね。

このグラフからわかるように、「必要」だという人はかなりいます。そうしないと雇用は守れない。生活が守れない。そういう答えがたくさんありました。しかし、「可能ではない」と思っている人もたくさんいる。地球がもう持たない。これがまさに、先ほどお話をした経済成長のジレンマです。必要だと思っているけど、可能ではないんじゃないかと思っている人が、日本にもたくさんいる。こういったところを一緒に考えていきたい。

この世論調査の結果をプレスリリースした時に、これは東京新聞の紙面ですが、取り上げてくれました。小さな研究所ですけど、ここでやっていくことが、少しでもいろいろな方々の考えるきっかけになればと思っています。

「立ち上げます」ということを宣言してから、日本の中からも世界からも、たくさんの応援のメッセージをいただいて、とても心強く思っています。まさにそういったことを考える必要があると思っていらっしゃる方は、日本にも世界にもたくさんいます。世界各国から「自分たちもそういうことをやっているので情報交換しよう」「今度ここで会議があるから、ぜひ来て話をしてほしい」というメールをいただいていて、すでにネットワークづくりにつながっています。

これが新しいタイプの活動になるという話を最後にして、おしまいにしようと思います。

たとえば、これまで私は主に温暖化とか生物多様性とか、環境問題の分野で活動してきました。温暖化だったら温暖化で、実際にやるかどうか、どうやってやるかは別として、何をやるべきかはほぼ決まっています。

しかし今回の、幸せと経済と社会の関係性を考えてみようというこの取り組みは、決まった答えはありません。ある答えを、どうやって取り組みやすいように提示すればいいかといったコミュニケーションの話ではなくて、解がないというのが、今回の取り組みの大きな特徴だと思っています。私が答えを知っているわけではない。誰かが知っているわけではない。だけど、答えがないから、わかりにくいからといって、目をつぶり続けることもできないと思っています。

そういう意味で言うと、いろいろな立場、いろいろな考え方の人たちと一緒に、どうやって折り合いをつけるのか、どうやってより遠い共有ビジョンを一緒につくっていくのかを考えていく。たとえば産業派と環境派はよく机を挟んで討論になるわけですが、そこを見たら対決かもしれない。だけどもっと遠くの共有ビジョンを見たら、やっぱり両方とも幸せのことを考えてやっているはずです。そういうことを一緒につくっていけないか。

そのときには、やはり対話(ダイアログ)を通じてやっていくことになると思っています。一緒に新しいものをつくっていく。今日もその一歩になればと願っています。誰かが答えを知っていて伝えるという話ではない。だけど、難しいからといって逃げ続けるわけにはいかない。

私たちは私たちのできる範囲で、いろいろな調査をしたり、海外の動向を伝えたり、日本の中の事例を伝えていきたいと思っています。ぜひ、皆さんと一緒に考えることができればと思っています。

今朝幸せ研のウェブサイトもオープンしました。まだ日本語だけですし、一部だけのオープンですが、これからここにいろいろなコンテンツ、情報を付け加えていきたいと思っています。ぜひこれからも一緒に考えていただければと思っています。ありがとうございました。

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