エダヒロの「幸せへ!」コラム

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2012.11.20

自治体の施策推進の原動力としての「さっぽろ"えがお"指標」

ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)ニュースレター No.122 (2012年10月号)
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/032354.html


先月号の記事「幸せな地域へ! 日本の少なくとも22 の自治体が『幸福度指標』を作成」でお伝えしたように、日本では多くの自治体がそれぞれくふうをしながら、単なる経済の規模や成長率だけではない、住民の幸福とそれを創り出し支える政策に目を向けた指標づくりを始めています。

幸せな地域へ! 日本の少なくとも22の自治体が「幸福度指標」を作成


なかでも、北海道の道庁所在地として190万人を超える人口を抱える札幌市の進める「さっぽろ"えがお"指標」は、ただ市民の幸福度を測ってみる、というのではなく、しっかりと政策に組み込み、政策を進めていく原動力としての役割を指標に持たせた本格的な取り組みです。多くの自治体にとってモデル事例の1つになるのではないかと思い、詳しくご紹介しましょう。

札幌市では、長期総合計画の基本的方向性を踏まえながら、計画期間内に重点的・優先的に実施するべき施策・事業を定めた新たな中期実施計画「第3次札幌新まちづくり計画(平成23~26年度)」を策定しています。この計画は、策定過程の各段階で内容を市民に公表し、パンフレットやインターネットなどで意見を募集したほか、市民アンケートや子どもを対象とした出前講座、まちづくりに関するシンポジウム、市民会議(まちづくり戦略ビジョン)、パブリックコメントを実施するなどして、市民の意向を把握し、日頃寄せられる市民意見や要望と併せて、できる限り計画に反映しました。

そして、まちづくりを担う市民・企業・行政などの各主体が目指していく目標を具体的かつ分かりやすく示し、各主体の取り組みを促し、その達成を目指すものとして、「さっぽろ"えがお"指標」が策定されました。この指標の達成が市民の幸福度を上げて、みんなの笑顔を広げていくことをイメージされたものです。

「第3次札幌新まちづくり計画」で掲げられている政策目標は大きく5つです。1 子どもの笑顔があふれる街2 安心して暮らせるぬくもりの街3 活力みなぎる元気な街4 みんなで行動する環境の街5 市民が創る自治と文化の街

この5つの政策目標に向けて、13の重点課題が設けられています。重点課題ごとに5~9の指標を設定し、計画全体で86項目の指標があります(86項目の指標は末尾に載せてあります)。指標は、市民に分かりやすい、集約的・代表的であるといった要素や、既存の部門別計画における設定の状況なども踏まえながら、選定したということです。

指標の性質により、重点課題ごとに「市民意識・行動指標」「社会成果指標」の2種類が設定されていることも特徴的です。「市民意識・行動指標」とは、市民の意識や行動について、定期的なアンケート調査などによって得られた数値によりその傾向を把握するもので、「社会成果指標」とは統計数値を利用、あるいは独自の調査により把握した数値を用いて、その傾向を把握するものです。

たとえば、「子どもを生み育てやすい環境づくり」という重点課題についての「市民意識・行動指標」の例は、「子どもを生み育てやすい環境だと思う人の割合」、「社会成果指標」の例は、「保育所待機児童数」です。

そして、すべての指標に、「第3次札幌新まちづくり計画」の最終年度である平成26年度の目標値が設定されています。指標の現状値や既存の部門別計画、過去の推移、他都市の状況などを踏まえた上で設定されていますが、努力目標的要素を加味して高めの目標設定を行ったものも含まれているとのことです。

指標をただ設定するだけでは、まちづくりの推進力にはなりません。この点、「さっぽろ"えがお"指標」は、実績値を定期的に調査し、毎年度の進捗管理に役立てるとともに、政策・施策の成果を把握しながら、計画事業の効果的・効率的な推進に活用する、と位置づけられています。

市のホームページでは、平成23年度に策定した「第3次札幌新まちづくり計画」の平成24年度について、5つの政策目標の重点課題ごとに計画評価を行った結果が掲載されています。以下は総括ですが、すべての指標の目標値と実績値が掲載された表がアップされています。


成果指標「さっぽろ"えがお"指標」の状況

13の重点課題ごとに「市民意識・行動指標」45項目、「社会成果指標」41項目の合計86項目の成果指標を設定しています。現状値から上昇した項目は48項目(55.8%)であり、うち19項目は目標値の水準に達しています。また、横ばいの項目は11項目(12.8%)、下降した項目は16項目(18.6%)となっており、「年間来客数」「外国人宿泊者数」といった観光関連の指標など、東日本大震災などの影響を受けて下降した項目はあるものの、概ね順調に推移しています。

このように都市計画・まちづくりの推進力として、また市民にも透明性の高い形で政策の進捗を伝え、フィードバックを得る手段として、自治体の幸福度指標を活用する好例です。これからの札幌市の計画遂行や指標そのものの進化発展にも大いに期待しています。

※「さっぽろ"えがお"指標」はこちらからダウンロードできます。
http://www.city.sapporo.jp/chosei/3-new-plan/documents/machi_honsyo_p83_p90.pdf

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