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2012.10.09

幸せな地域へ! 日本の少なくとも22の自治体が「幸福度指標」を作成

ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)ニュースレター No.127 (2012年9月号)
http://www.japanfs.org/ja/join/newsletter/pages/032298.html

JFSではこれまで、持続可能性を考えるうえでの大きな鍵である「経済成長」と「真の幸せ」について、社会を動かす指標という観点からもニュースレターなどで取り上げてきました。

「日本国民は『経済成長のジレンマ』をどのように感じているのか?」(2011年2月号)
「幸福の指標化についての一論考」(2011年9月号)
「エネルギー政策を考える土台としてのGDP成長率の見通しにチャレンジ!」(2012年5月号)
など

JFSは代表である枝廣淳子が所長を務める「幸せ経済社会研究所」の海外アウトリーチパートナーでもあり、この分野で内外をつなぐ役割を果たしています。幸せ経済社会研究所では、スウェーデンに本拠地をおくアラン・アトキソングループに委託し、経済成長がどのように始まり、展開し、今日の位置づけに到達したか、どのような代替的な考え方や指標が提案・採用されてきたかなどについて概覧する「Life Beyond Growth」レポートを発表しています。
http://lifebeyondgrowth.wordpress.com/2012/02/28/report-release/

GDPは1934年、米連邦議会のために経済学者のサイモン・クズネッツが開発した(当時はGNP:国民総生産)もので、第二次大戦中に国家の軍需生産を測る指標として用いられるようになり、その後、国家の経済成長を測る指標として定着しました。

当の開発者であるクズネッツが「GDP では、国の豊かさはほとんど推し量ることはできない」と警告を発していたにもかかわらず、日本を含め、世界中でGDPは国の進捗や影響力の大きさを測るものとして使われてきました。また自治体でも、都道府県別GDPといった形で、自治体や地域の豊かさを測るひとつの重要な指標として考えられています。

一方で、「GDPは増えても幸せになっていないのではないか」「本当に大切なのは何なのか?」という議論が世界中で盛んになりつつあります。

日本でも、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」において、「新しい成長及び幸福度について調査研究を推進」することが明記され、これを受けて、2010年12月に内閣府が「幸福度に関する研究会」を設置し、2011年12月に「幸福度指標試案」が発表されています。試案では、主観的幸福度と、経済社会状況、健康、関係性を3つの柱とした指標のイメージが提案されました。
http://www5.cao.go.jp/keizai2/koufukudo/pdf/koufukudosian_sono1.pdf

幸せ経済社会研究所では、日本の自治体における幸福や真の豊かさの指標化/政策目標化の動向について調べてみました。その結果をお伝えします。

調査は、アンケート調査とそれを補完するウェブ調査によって行いました。調査対象は、47都道府県52政令指定都市/県庁所在地、加えて取り組みが報道されている2自治体(東京都荒川区、富山県氷見市)の合計101自治体としました。アンケート調査への回答率は全体で55%でした(都道府県62%、市区50%)。

調査の結果、回答を寄せた自治体のうち、22自治体が幸福度や真の豊かさを指標化する取り組みを行っていることがわかりました。うち、13都道府県の合同プロジェクトが1種と、その合同プロジェクトに参加している熊本県が独自に進めている指標もあることから、指標化の試みの種類としては11種あることがわかりました。

<幸福度や(真の)豊かさについての指標化を行っている自治体と指標の名称>

1.ふるさと希望指数(LHI: Local Hope Index) 福井県(リーダー県)、青森県、山形県、石川県、山梨県、長野県、三重県、奈良県、鳥取県、島根県、高知県、熊本県、宮崎県
2.とやま幸福度関連指標 富山県
3.京都指標 京都府
4.新たな豊かさ指標(仮称) 兵庫県
5.統合指標:県民総幸福量(AKH: Aggregate Kumamoto Happiness)、補助指標:「笑いの数」による幸福度指標(SI:Smile Index) 熊本県
6.さっぽろ"えがお"指標 札幌市(北海道)
7.NPH(Net Personal Happiness) 新潟市(新潟県)
8.GHH(浜松総幸福量) 浜松市(静岡県)
9.堺・まちづくりGPS 堺市(大阪府)
10. 荒川区民総幸福度(グロス・アラカワ・ハッピネス:GAH) 荒川区(東京都)
11. こころの指標 氷見市(富山県)

幸福度や真の豊かさを指標化する際には、「あなたは幸せですか?」などと主観的幸福度を尋ねるアンケート調査をベースとする方法と、幸福度に関連すると考えられる客観的な統計データをベースとする方法があります。また、複数の数値データを重み付けしてまとめる統合化を行って「1つの数字」として指数化する方法と、そのような統合化をせず、複数のデータ群として指標化する方法があります。


その方法論で整理したものがこちらです。

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今回の調査では、各自治体がさまざまな考えで工夫をして指標化の試みを進めていることがわかりました。

なお、調査対象の4分の1にあたる25自治体で、政策目標に幸福度や真の豊かさを考慮していることがわかり、指標化の有無は別として、幸福度や真の豊かさを政策目標に採り入れる自治体が、かなりの割合存在していることがわかりました。

今回の調査では、日本でもかなりの数の自治体が、世界や国レベルでの動向を受け、また国よりもずっと人々に近いからこそ住民や地域社会のニーズを汲んで、「幸福度や真の豊かさを政策やその進捗を測る指標にしよう」というさまざまな取り組みを始めていることがわかりました。今後、こういったさまざまな自治体の幸福度指標の考え方やつくり方、地域づくりでの位置づけや役割、実際の変化や成果などをレポートしてお伝えしたいと思います。

JFSでは今後も、国内の動きを支援・応援しつつ、世界にも発信し、世界の動向や洞察を日本に伝えることで、内外の取り組みを推進していきたいと思っています。

報告書(日本語)はこちらからダウンロードできます。
http://ishes.org/news/2012/09/26/archives/pdf/20120926_houkokusho.pdf

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