100人それぞれの「答え」

写真:鈴木 敦己さん

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福島県立安積高校3年生

鈴木 敦己(すずき あつき)さん

格差があるのは、「貯めていること」が原因

Q. 済経済成長とはどういうことだと思いますか?

イメージですが、経済が成長するということは、それだけお金が儲かるということかなと思っています。

Q. 経済成長は望ましいことだと思いますか?

経済についてちゃんと学んでいないので中学校の時の考えのままですが、その時経済について考えて思ったのは、国などがそれぞれ自分や両親などの人間だと考えると、それぞれが持っているお金の額は勝手に増えることは絶対にない、ということです。どこかからお金が現れるわけじゃないので、必ず誰かからお金を受け取っているはずだと。そうすると、「誰かがお金を多くもらったら、その分誰かが損しているんじゃないか」という思いがずっとあります。なので、「経済成長して誰かが儲かる分、誰かが損している」というのは嫌だなと思っています。

Q. 経済成長は必要なものでしょうか?

大事なのは、経済成長した後のお金の使い方かな、と思っています。ニュースに軽く触れて感じるのは、安倍首相がやっていることは、「まず企業の人たちの賃金を増やして、お金をいっぱい儲けてもらい、それを社会に流してもらうことでお金を回したいのかな」と。

経済成長でただお金を儲けて、貯めておくというのは駄目だと思っていますが、そうではなく、儲けたお金をさらに出したら、最初に損した人もお金が戻ってきて、またその人が出して...というふうにぐるぐる回っていけたらいいのかなと思っています。そういう形になるなら、経済成長したいです。

Q. 経済成長しないと困ることはありますか? たとえばゼロ成長のように。

成長の限度はあると思います。みんながいい水準まで来たら、それ以上成長する必要もないというか、できない。できなくもないけど、特別に頑張る必要はないと思います。

今の時点で、「お金がないからこれができない」と思っている人や、そもそもお金がある状況を知らないから、「こんなものだ」と思っている人もいる。自分が恵まれていた分、そういう人たちにも同じ思いをしてもらいたいというか、知らないで終わるのはもったいないなという思いがあります。環境的な格差がなくなるために経済成長は今後も進んでいってほしいですが、それが達成できたら、ゼロ成長という表現でもいいのかな、と。

Q. 「達成できたら」という線は、どのあたりでしょう?

今思っているのは、「今の自分の状況より恵まれていない人がいる」ということなので、全員がそう思わなくなるところまでです。でも、もしかしたら、その上もいるかもしれない。その意味で言うと、終わりはないのかな、という気はしています。

Q. 経済成長を続けることは可能でしょうか?

貯めなければ。どんどん入ってきて、その分出して、という循環ができれば大丈夫なのかな、と。

Q. それは、どこまでも、いつまでも?

「お金の等価値は変わらない」というのが経済の考え方かなと思っているので、それがどこかで止まって、流れが滞らない限りは、ずっと回り続けられるのかな、と。

Q. 経済成長を続けることの犠牲やデメリットはあると思いますか?

特に考えたことがないです。今、昔に比べて格差があるのは、「貯めていること」が原因なのかなと思っているので、それが流れるようになれば。「経済成長を続けることの犠牲」は思い浮かぶことはないです。

Q. 日本が経済成長した中で、犠牲とかデメリット、失ったものがあったと思いますか?

最近公害を授業でやったので、経済成長のデメリットというと公害を思い浮かべます。経済成長だけを見ていると、気を使うことが二の次になって、うまくいかなくなることがあるのかな、という気はします。

だからといって、日本が何か失ったかと言うと、そうでもないと思っていて。もちろん公害がいいものとは思いませんし、今後は起きて欲しくないですが、むしろその時期があって、企業が儲け、経営が回るようになってきたから社会的なことに目を向けようという雰囲気が出てきているというイメージなので、むしろ良くなっているのかなという感じがあります。

Q. 「福島の原発事故も経済成長を追い求めてきた結果ではないか」と言う人もいますが、そういう見方についてはどう思いますか?

経済成長が原因ではなくて、利潤だけ見て、周りに気を使うのを忘れていたせいじゃないかと思います。

Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどんなイメージですか

お金は回るものだと思っているので、大きな川の流れみたいに、絶えることなく、いい感じのお金の流れがグルグルと――今言われているような、上の層だけで動くのではなくて――、上から下までどんな層にも回り続けるような「持続」はそれぞれが貯めなければ可能だと思っていて。で、「幸せ」というのは、みんながやりたいことをやりたいようにできることだと思っているので、経済成長でお金がきちんと全体に回り続けることによって、持続可能で幸せな社会になるのかなと思います。


インタビューを終えて

福島の高校生のためのオープンスクールの参加者でもある鈴木くん。いつも自分の思いと考えに素直に向き合い、考え込んだり悩んだりも含め、成長中!というオーラを感じさせてくれます。

「格差がなくなるために経済成長は今後も進んでいってほしいですが、それが達成できたら、ゼロ成長という表現でもいいのかな」など、「格差」への意識が高いことが伝わっています。そして、受け取る量自体が違うから格差が起きるというイメージに対して、「ためることが格差を作り出すのでは」との見立てに、なるほど!と思いました。そういう観点でもぜひ考えてみようと思いました。ありがとうございました。

取材日:2015年2月20日


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