100人それぞれの「答え」

写真:塩見 直紀さん

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半農半X研究所代表

塩見 直紀(しおみ なおき)さん

WHOの健康の定義の観点から、「経済成長」を見ていくと、足りないものがわかりそうです

Q. 経済成長とはどういうことですか、何が成長することですか

いろいろなものの再定義、定義更新が必要なような気がします。経済成長も再定義が急がれるものの1つですね。

経済成長とは人間の精神の成長、魂の成長、各自の天職の成長がベースにあるという思想が盛り込まれるべきと考えます。WHOの健康の定義のような観点も要るように思います。他の生物の幸福のことまで含めた定義にしたいところですが、そこまで行き着くにはまだまだ時間が要りそうです。

新しい経済成長の定義をつくる上で、鈴木大拙の名著『日本的霊性』はヒントになりそうです。鎌倉仏教の特徴として、大拙は「大地性」「莫妄想」(妄想すること莫れ、イリュージョンじゃない)というキーワードをあげているのですが、これらは真の経済成長とは何かを考える際にも、応用できそうです。

Q. それは望ましいものですか、それはなぜですか

WHOの健康の定義の観点から、「経済成長」を見ていくと、足りないものがわかりそうです。新しい定義でもって経済が成長することイコール地球の健康、人を含めた多様な生命の健康ということのであれば、望ましくなっていく可能性はあると信じたいです。

Q. それは必要なものですか、それはなぜですか。必要な場合、いつまで、どこまで、必要でしょうか

足るを知ることがなく、妄想的、イリュージョンな方向に突き進む人類。気づいている人はまだ少数派なのでしょう。まだまだ時間がかかりそうです。気づくのが先か、終わりが先か気になります。

Q. 経済成長を続けることは可能ですか、それはなぜですか

「大地性」「育てて用いる」「手入れの思想」といった日本的な発想を大事にしていけば、可能性はあると思います。いまは「育てず使うのみ」ですね。

Q. 経済成長を続けることに伴う犠牲はありますか、それは何ですか、なぜ生じるのですか

「遠慮」とは仏教のことばで、遠い未来への配慮だそうです。いまは配慮なき代です。地球上の他の生物の生命や後の世への犠牲でしょうか。

Q. 日本がこれまで経済成長を続ける中で失ったものがあるとしたら何でしょうか

いろいろあると思いますが、「センス・オブ・ワンダー」や「見えないものへの畏敬の念」、そして、「手」(手仕事、手塩にかける、手作業、育むことなど)でしょうか。

Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると考えますか

魂の成長、使命多様性、それぞれの天職の発揮というものがあれば、いい関係になると思います。


インタビューを終えて

「半農半X」という新しい価値観・ライフスタイルを自ら実践し、そのコンセプトやあり方をあちこちに普及する取り組みをしている塩見さん。セミナーにご登壇いただいたり、いつも刺激をいただいています。今回のインタビューでも、さすが塩見さんだなあ!と思う答えがいっぱいありました。

WHOの健康の定義の観点から、「経済成長」を見ていくという視点は初めてです! なるほどなあ、と思います。持続可能であるためには、経済も健康でなくてはならないですものね。

そして、「遠慮」とは仏教のことばで、遠い未来への配慮だとのこと。考えさせられます。そして、日本が経済成長で失ったもののひとつが、「手」。「手仕事」「手塩にかける」「手作業」――たしかに、こういう言葉を使わなくなっていますね。このままでは手偏の漢字がどんどん減って、金偏の漢字ばかりになるかも!と妄想が広がってしまいました。またじっくりとお話をうかがいたいなと思います。

取材日:2015年4月15日


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