100人それぞれの「答え」

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ワールド・フューチャー・カウンセル共同設立者

ハーバート・ジラルデットさん

経済に関わる理論家たちは、成長の限界を定義することに、もっと積極的に関わるべきです

Q. 経済成長とは何でしょうか?

ある期間、人口一人当たりで生産されたモノやサービスの量の増加のことです。通常は、再生不可能なエネルギー源を大量に注入することが原動力となっています。発展途上国では、経済成長に伴う急速な都市化を避けることができません。都市が国の経済の中心地となっているからです。

Q. 経済成長は望ましいものでしょうか?

経済成長は望ましいものだと考えられています。なぜなら、社会の大部分の人々の一人当たりの収入が増えることと直接的につながっているからです。経済成長のおかげで、社会の中で消費者となる人々が増えることができます。しかしたいていの場合は、同時に、社会的・経済的な不平等を伴います。

Q. 経済成長は必要なものでしょうか?

経済成長は、豊かさを増し、貧困を減らすための手段であると考えられています。経済成長は、食べ物や住む場所といった基本的な必需品を満たすことを超えて、人々に提供するライフスタイルの選択肢を増やします。しかし、経済成長を制限する必要性をもっときちんと理解する必要があります。有限の世界で、無限の成長はありえません。

Q. 経済成長を続けることは可能でしょうか?

成長を制限することは避けられません。経済成長を制限するのは、資源の制約だけではありません。化石燃料や再生不可能な資源、工場の生産プロセスをどんどんと使うことから発生する汚染の結果も、経済成長の制約要因となりえます。

Q. 経済成長を続けることから、犠牲やデメリットが生じるでしょうか?

量的なプロセスとしての経済成長は、人間の存在の質に関わる側面をないがしろにしがちです。重要な点は、世界の生物の世界とそこに生きる数知れない生物種に対する大きな影響です。

Q. 経済成長を続ける中で、あなたの国が失ったものがあるとしたら何でしょうか?

経済が成長するにつれ、生物界はほぼ不可避的に縮小します。経済成長はまた、地元コミュニティの暮らしのつながりにもマイナスの影響を与えることがつねです。

Q. 「経済成長」と「幸せで持続可能な社会」の関係をどのようにお考えになりますか?

「経済成長」と「人間の幸せ」の間には直接的な関連はないことを示す研究がたくさんあります。通常、最も豊かな国々が最も幸せな国々ではないのです。成長を政治的に方向づけで、生物の生きる生態系やコミュニティの暮らしに悪影響を与えることなく、人間の基本的な生活水準を改善するために用いなくてはなりません。経済に関わる理論家たちは、成長の限界を定義することに、もっと積極的に関わるべきです。たとえば、国レベルでもグローバルなレベルでも、大半の人々の物質的な幸せを考えたとき、「成長がマイナスを引き起こさないぎりぎりのレベルとはどのようなものか?」ということです。


インタビューを終えて

バラトングループのメンバーでもあり、また2000年にNHKが「地球白書」という番組を英国などと国際共同制作をしたときの相手チームの一員でもあった(私は日本チームのお手伝いをしていました)ハービーに聞きました。

特に最後の「経済に関わる理論家たちは、成長の限界を定義することに、もっと積極的に関わるべきです。たとえば、国レベルでもグローバルなレベルでも、大半の人々の物質的な幸せを考えたとき、「成長がマイナスを引き起こさないぎりぎりのレベルとはどのようなものか?」ということです」には、深くうなずきます。
いろいろな経済学者がいてもいいけど、経済成長を前提とするのではなく、「どこまでOKなのか? そのとき、そこまで、どのような経済を創っていけばよいのか?」を考える経済学者がもっといてくれないと!と思います。

取材日:2015年4月13日


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