100人それぞれの「答え」

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会社員

さん(40代 女性)

経済成長とは、生活に必要なモノやサービスが、必要な人に必要なだけ渡るような仕組みが成長すること

Q. 経済成長とはどういうことでしょうか

生活に必要なモノやサービスが、必要な人に必要なだけ渡るような仕組みが成長することなのかなと思います。

Q. それは望ましいものですか

必要な人に必要なだけ、という理想の形を考えれば、ない人の所には行かなければならない、という意味では必要なことであり、望ましいことなのかなと思います。

Q. 必要な場合、いつまで、どこまで、必要でしょうか

今の経済成長に偏りがあるように見えるのは、必要以上の量が必要でない人の所に分配されていることも含めて成長になってしまっているからです。行き渡ればそれ以上成長が必要かと言うと、あとはサービスの質をどうするかが焦点になってくるのかなという気がします。

Q. 経済成長を続けることは可能でしょうか

今のシステム自体が、もともと誰もがあこがれていた経済成長とはずれているので、今のように資源をたくさん使って、「地球1個分で暮らしていません」みたいな状態での成長ができるかというと、厳しいと思います。

Q. それは将来的に続けられなくなるということでしょうか? もうすでに続けられないところに来ているのでしょうか?

続けられないところに来ているのに、なぜか続いているという不思議な感じのギャップがあります。それを「成長している」と評価していいのかどうかも論点はあると思います。

Q. 経済成長を続けることに伴う犠牲はありますか、あるとしたらどんなものでしょうか

それは成長の仕方にかかってくると思います。今のような資源の使いすぎとか、本来の成長、つまり「誰もが必要なものが必要なときに」という状態にならない格差の状態のまま、何も得られることがない人ができてしまうのに、でも、世の中は成長している気になっている。そういうギャップなのかなという気がします。

Q. 戦後、日本が経済成長を続けてきた中で起こっている犠牲があるとしたら何でしょうか

初期のころは公害問題などが中心だった気がしますが、つくり出すモノやサービスの方向性が、人を豊かにするとか、本当の意味での豊かな方向に行っているかなと、「?」と付けざるを得ないようなところがあるので、そのあたりが問題なのかなという気がします。

Q. なぜそうなってきているのでしょう?

「時間をどう使うか」というところが、大きく変化してきたものの1つにあると思います。ちょうど1年前、昨年の2月に「人間国宝展」を見に行ったのですが、昔の人は、これだけの素晴らしい芸術をつくるのに、どれだけの時間をかけることができたのだろう?ということを非常に感じました。それが文化としての豊かさだったり、それに時間をかけられるというのが、ある意味の豊かさだったり。

今、自分の生活を振り返ってみても、5分間隔で来る電車を待つことすらできない。5分待てないというのは一体何なのだ、メールの返信をするにしても、1日待てないのは何だと思います。時間の使い方とか、ある意味での豊かさを失うのと、トレードオフになってしまっているような気がします。。

Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると考えますか

限られた資源の使い方だったり、時間の使い方だったり、人間が本来持つ、生物として満たされたと感じる範囲での生活があった上でないと、持続可能性は実現しないのかなという気はします。

必要以上のスピード、必要以上の機能、必要以上の何かを提供、あるいはしてもらうことが豊かさを生む、みたいな方向性に行っていますが、「おそらく違うでしょうね」というところを、一度立ち止まって方向性を軌道修正しないと、同軸には行かないかなという気がします。

Q. いくつか追加でお聞きします。最初の「経済成長とは」という質問で、「必要なモノを必要な人に届ける仕組み」が成長することというお話でしたが、その「必要」というのをどうやって定義するか、もしくは誰がどうやって判断するのでしょうか?

それはおそらく、人間が正しく持たなければならない価値観なのかなという気はします。そもそも正しい価値観というのがあるかということもあるでしょうけど、そこを賢く判断できるようにならないと、うまく回らないのかなという気がします。

Q. 私たち、人間にとっての必要な量や必要なモノも、それを測ったり判断したりというのは、あまりしていませんね。

技術が進歩し、保存し、そのまま使うのではなくて貨幣に変えられることになったことで、今いらなくても、その先のために取っておけるようになった。それがなければ、必要な量の魚しか買わないし、捕らない。動物はそういう範囲で生活しているから、ある意味持続可能です。

価値の変動はありますが、先まで取っておける貨幣や金銭など、別の価値のものに置き換えられたことが、ある時点では便利な経済を回したのでしょうけど、ふと振り返ってみると、今いらない量まで、というところを狂わせているところがあるのかなという気がします。


インタビューを終えて

環境先進企業の環境本部で活躍中のMさんのお話には非常に本質的なポイントがいくつもありました。
「経済成長とは、生活に必要なモノやサービスが、必要な人に必要なだけ渡るような仕組みが成長すること」に対して、「今の経済成長に偏りがあるように見えるのは、必要以上の量が必要でない人の所に分配されていることも含めて成長になってしまっているからです」。「必要以上のスピード、必要以上の機能、必要以上の何かを提供、あるいはしてもらうことが豊かさを生む、みたいな方向性に行っていますが、一度立ち止まって方向性を軌道修正しないといけない」と言われたように、「必要」とその充足度への感覚がとても大事なポイントなのだろうと思います。
また、「時間をどう使うか」という時間に関するポイント、「貨幣に変えられることになったことで、今いらなくても、その先のために取っておけるようになった。それがなければ、必要な量の魚しか買わないし、捕らない。動物はそういう範囲で生活しているから、ある意味持続可能です」「先まで取っておける貨幣や金銭など、別の価値のものに置き換えられたことが、ある時点では便利な経済を回したのでしょうけど、ふと振り返ってみると、今いらない量まで、というところを狂わせているところがあるのかなという気がします」という貨幣の誕生が生み出した利便性と裏腹の問題など、それぞれ、じっくり考えていかなくてはならないポイントを指摘していただいた気がします。ありがとうございました。

取材日:2015年2月5日


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