100人それぞれの「答え」

写真:後藤 敏彦さん

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サステナビリティ日本フォーラム 代表理事

後藤 敏彦(ごとう としひこ)さん

第二次大戦後、世界中にまかれたアメリカン・ドリームという夢を、違った夢に切り替えられるかがチャレンジです

Q. 経済成長とはどういうことですか、何が成長することですか?

ある一定範囲の経済、すなわち財・サービスの生産消費の規模が拡大することだと思います。

Q. それは望ましいものですか、それはなぜですか?

あるレベルまでは望ましいし、必要と考えます。心豊かに、かつ健康的に暮らすには一定レベルの物質的な豊かさが必要です。最貧国・途上国の環境破壊を止めるためにも経済成長も必要と思います。

Q. それは必要なものですか、それはなぜですか。必要な場合、いつまで、どこまで、必要でしょうか?

必要な理由は上記しました。どこまで必要かは、人類がすでに地球1.5個分を毎年消費している現在、グローバルに社会・経済の仕組みを根本的に変革する必要があります。しかし、科学技術だけではなく、人々の認識の問題ですのでまず不可能に近いと思います。若い人々の中にすこし認識の変化があるようですか???

成長かどうかは別として、21世紀中に環境・エネルギー問題にめどをつけ、22世紀にソフト・ランディングするには、とにかく再生可能エネルギーによる経済・社会に切り替える、もしくは何らかの手段でGHGsの排出をゼロにすることはミニマムです。

Q. 経済成長を続けることは可能ですか、それはなぜですか?

先進国は物質的には飽和状態になっていますからまずありえない。利子率が実質ゼロということは投資機会ゼロということです。

途上国は、あるところまで必要ですが、先進国と同じPathは資源制約、環境制約からBAUでは21世紀半ばには,行きづまるものと推測しています。

先進国やグローバル企業は違うPathを示せるか?

Q. 経済成長を続けることに伴う犠牲はありますか、それは何ですか、なぜ生じるのですか?

外部不経済といわれるものすべてが犠牲です。「自然」、それは「かけがえがない」ものだから値段がつけられていませんし、つけられません。これの内部経済化が必要ですか、「言うは易く」、「行うは難し」です。

Q. 日本がこれまで経済成長を続ける中で失ったものがあるとしたら何でしょうか。

「大和こころ」です。(「大和魂」ではありません。)

Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると考えますか?

経済成長の指標としてGDP(20世紀の産物)を使っていることが根本的な間違いです。

GNHは代替物にはなりません。(具体的な個別政策策定に際しては参考に活用はすべきと考えていますが。)

経済成長のベクトルの方向を変える必要がありますが、3つ目と5つ目に述べましたように容易ではありません。

目指すターゲットは、「地球上の人類が、地球のキャリング・キャパシティ内でこころ豊かに暮らすこと」です。

第二次大戦後、世界中にまかれたアメリカン・ドリームという夢を、それとは違った夢に切り替えられるか、それはどんな夢か、がチャレンジだと思います。


インタビューを終えて

インタビューをお願いしたところ、書いて送って下さいました。「第二次大戦後、世界中にまかれたアメリカン・ドリームという夢を、それとは違った夢に切り替えられるか、それはどんな夢か、がチャレンジ」との言葉、本当にそうだと思います。どうやって、どのような夢に切り替えていけるか――最近、世界でもstoryやnarrativeの重要性が語られていることとも重なるなあと思いました。

取材日:2014年12月10日


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