100人それぞれの「答え」

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福島県立福島高校 2年

芳賀 壮(はが たけし)さん

必ずしも裕福な人たちの集まりで社会が豊かになるわけではなく、個人の心の持ちようで変わるのかなと思います

Q. 経済成長とは何でしょうか? どういうことだと思いますか?

小さな市に住んでいるんですけれども、商店街に行くとシャッター街になっていて。自分の家は商店街の中の店ではないのですが、そういう所を通ると少し気持ちが下がってしまう。あまり楽しい気持ちにはならない。

経済成長というと、みんなが活気づいていて、市全体、町全体が元気になっていっている、その中でも、自分たちの生活がある程度豊かになっているという姿を思い描きます。

Q. そうすると、経済成長は望ましいものですね?

はい。

Q. で、必要なもの?

必要だと思います。

Q. 経済成長を続けることは可能だと思いますか?

可能だとは思いますが、かなり二面性は持っているのかなと思います。

先日、地理の講座があったんです。今回の地理の範囲は、世界の農業や工業を見たりする中でも、北アメリカ、南アメリカ、アフリカが主な地域でした。アフリカなどを見ると、インフラが整っていなくて、その中で生きている子どもの写真があったり。それを見ると、インフラが整ったりするために、経済成長は必要。生活をある程度安定させるものかなと思うので、必要かと思います。

中国を見ると、ある程度インフラは整っていたとしても、みんなが笑っている姿ではなく、空が曇っていて。その人たちにはそれが日常になっていて、違和感はないのかもしれませんが、自分が思い描く、「経済成長がある=幸せ、笑顔」という国ではないのかな、と。経済成長が目まぐるしい国でも、あまりいい生活は送れていないのかなと思ったりして、二面性はあるのかなと感じました。

Q. 日本も世界も経済成長してきていると思いますが、犠牲とかマイナス面はあると思いますか? 

一番は、公害や環境問題という部分があるかと思いますが、それだけではなく、経済成長することによって、人とのつながりが薄れてくるのかなと思います。

よく言われる、江戸時代などの人の交流だったり、近所や周りの人が団結してやったりというものです。経済成長だけでなく、情報媒体の発達や社会全体が変わってきているのかもしれませんが、人々のつながりが薄れてきている。個人でも生きていけるようになって、周りとの関係が薄れてきているのかなと感じます。

Q. 日本も高度経済成長してきたけど、そういう面が日本でも出ているような気がしますか?

はい。

Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると思いますか?

関係はありそうでないのかな、と。あるかもしれないと思いますが、――アフリカの国などを見ると、ある程度成長することによって、幸せになったり豊かになるというのはあると思いますが――、イコール相関があるわけではない。そこに住んでいる人たちの心のありようによって変わるのかな、と。

極端に貧しいと当てはまらないと思いますが、豊かになるというのも、ある程度収入があって生きていけるとなったときに、自分が現状に対して、これでも生きていくと、その現状に対して笑顔で生きていくなら、社会全体としては豊かになるのかな、と。

必ずしも裕福な人たちの集まりで社会が豊かになるわけではなく、個人の心の持ちようで変わるのかなと思います。


インタビューを終えて

最後に語ってくれた「必ずしも裕福な人たちの集まりで社会が豊かになるわけではなく、個人の心の持ちようで変わるのかなと思います」にははっとしました。「本当の社会の豊かさとは何なのだろうか? 豊かな社会と、豊かではない社会の違いは何なのだろうか?」――とても大事な深い問いを受け取った思いがします。芳賀君とも一緒に考えていきたい、と思っています。

取材日:2015年2月21日


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