100人それぞれの「答え」
095
インドネシアで草の根で人材・リーダーシップ開発を行うNGO・KAIL創始者・コーディネーター
アニー・サルストワッティさん
インドネシアでは、経済成長のために、大きな島々の多くで原生林の大半を伐採してきました
- Q. 経済成長とは何でしょうか?
-
経済成長とは、経済的なパフォーマンスを測るために広く使われてきた単位です。
- Q. 経済成長は望ましいものですか、それはなぜですか?
-
現在の私たちの状況では、経済成長は望ましいものです。ある国が経済成長すればするほど、その国の開発はますます進むと考えられているからです。経済成長の大きい国は、強い経済を有しているとみなされ、この世界で強力な国だと見られるでしょう。
- Q. 経済成長は必要なことですか? それはなぜですか?
-
測定手段としては、経済成長は必要なことではありません。なぜなら、貨幣の単位で経済成長を測るときには、総支出額を計算しているからです。発展に関する良いことの計算と悪いことの計算を区別していません。すべてが、同じ貨幣の単位で計算されているのです。
「発展」の意味にまでさらに深く切り込むなら、お金を計算する以上のことが必要です。幸福や健康、教育水準のような、生活の質も計算する必要があります。こういったことは、支出額だけで反映することはできません。
- Q. 成長を続けることは可能ですか? それはなぜですか?
-
経済成長を続けることは不可能です。私たちは有限の惑星に生きているからです。すべての資源は無限ではありません。ある時点で崩壊することなく、限られた資源の利用を永久に増やしていくことはできません。
- Q. 経済成長を続けることに伴う犠牲や不利益はありますか?
-
はい、経済成長によって、多くの犠牲や不利益が生じてきました。私たちが経済成長を続けるのなら、犠牲や不利益はさらに増えるでしょう。例えば、インドネシアでは、経済成長のために、大きな島々の多くで原生林の大半を伐採してきました。私たちは木材やお金を手に入れましたが、得たお金は、この森林破壊の結果引き起こされた生態系の崩壊を回復させるのには十分ではありません。わずか一部の人だけが、特に企業が、経済成長の結果を享受しており、その一方で、その他の人々は森林破壊の影響に苦しまざるをえません。
- Q. あなたの国がこれまで経済成長を続ける中で失ったものがあるとしたら何でしょうか?
-
私たちは、木材や採掘のために森林を失い、生物多様性、原住民の居住地やその多様な文化、肥沃な土壌、サンゴ礁、そして平和を失いました。
- Q. 「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると考えますか?
-
持続可能で幸せな社会を築くために、必ずしも経済成長を用いる必要はありません。
経済は必要ですが、もっと意味のある指標群が必要です。私たちの本質的な価値観や生活の質のレベルを反映する指標は、お金の単位だけではなく、多くの尺度で構成することができるでしょう。
インタビューを終えて
「インドネシアからバラトン・グループに参加しているアニーに聞きました。
「現在の私たちの状況では、経済成長は望ましいものです」と答えつつも、経済成長を続けることは可能ではなく、また実際にインドネシアでも多くの犠牲をもたらしていることを指摘しています。
また最後に述べている「経済は必要だが、経済成長は必要ではない」というコメント、この2つを混同して考えている人も多くいるように思われることから、この明確な区別はとても大事だと思いました。
それにしても、こうしていろいろな国の人々に聞くと、どこでも同じような「経済成長による犠牲」が起こっていることが伝わってきます......。
取材日:2015年4月2日
あなたはどのように考えますか?
さて、あなたはどのように考えますか? よろしければ「7つの問い」へのあなたご自身のお考えをお聞かせ下さい。今後の展開に活用させていただきます。問い合わせフォームもしくは、メールでお送りください。