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Case.12

2つのベーカリーによる心温まる取り組み

(Triple Punditより)

国連機関と民間会社が共同で主催するソーシャル・イノベーション・サミットは年2回、ニューヨーク市とシリコンバレーで事業改革や社会的変革に関するイベントを開催しています。2014年5月に行われたイベントでは、グレイストン・ベーカリーとパネラ・ブレッドという2つのベーカリーが、事業を成長させ、かつ社会に積極的に影響を及ぼすための改革の進め方について発表しました。

グレイストン・ベーカリーは他ではチャンスを得られない人々に見習い期間を与えて、自立への道を支援しています。例えば、2008年に刑期を終えたある男性は、生活を続け家庭を持つのに十分なお給料をもらえる仕事をなかなか見つけることができませんでした。そこでグレイストン・ベーカリーは彼を見習いとして雇い、忍耐力や自制心、これまでとは異なる振る舞いを身につけてもらいました。訓練期間を終えた彼は、後に研究開発部門のリーダーに昇進しました。そうして得た稼ぎで、ついには家庭を持ち、子供も生まれて一家を支えるようになったのです。この訓練で彼は、適切な行動と応用のきく実践的な技能を身につけ、より質の高い製品が作れるようになっていました。

もう1つの例は、パネラ・ブレッドです。創設者でありCEOのロン・シャイクは「人は財力に関わらず、誰でも尊厳を感じられるような食事をするべきである」という信念から、パネラケア・カフェを始めました。この店のメニューには定価がなく、客が自分で決めた金額を支払う募金箱があるだけです。シャイク氏は、「単にホームレス施設に売れ残りを寄付するだけでなく、食料が不足している人々とつながりを持ちたかった。お腹を満たすというだけではなく、尊厳を高めるといった問題なのだ」と言います。社会的なプレッシャーを感じさせないため、いくら払ったのかは誰にも見られないようになっており、またこのシステムを持続可能にするため、カフェは経済状況の異なる地域に散在しています。

どちらのベーカリーも、社会を前向きに変え、地域社会を発展させるために自社の中核技術を有効に活用しています。その上で、そういった活動への関心を高め、他の組織にも同様の取り組みをするよう鼓舞していくことが必要だとシャイク氏は話しています。

 

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