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Case.42

最新テクノロジーがもっと多様な人々にもっと身近になる社会づくり

(Yes! Magazineより)

最新テクノロジーがより多様な人々の暮らしを豊かに変えようとしています。ホームレスやメンタルの悩みを抱える人、目に障がいがある人に役に立つツールとして、最新テクノロジーに注目した人たちが活躍しています。


リズ・パワーズ:アートリフティング(ArtLifting)

パワーズはハーバード大学を卒業後、公共サービスに関心を寄せる学生に支給される「公共サービス奨学金」と貯金で4000ドルを投資し、2013年に兄とともに「アートリフティング」を設立しました。

「アートリフティング」は全米20州のホームレスや障がい者が制作した芸術作品を販売するオンラインマーケットです。芸術作品の売上の55%がアーティストの収入に、44%が経費に、1%が社会サービス施設やホームレス・シェルターなどでの芸術プログラムの資金に充てられます。

「より多様な人々が収入を得るために、どんな仕事ができるかを再定義すること」それがパワーズの目標です。


ナンシー・ルブリン:クライシス・メール・ライン(Crisis Text Line)

ルブリンがコミュニティづくりに若者の力を活用する非営利団体の最高責任者(CEO)だったとき、家庭内暴力や性的虐待などの問題を抱えるメンバーから助けを求めるメールを数多く受け取りました。そうした人々を救いたい思いで、2013年に24時間年中無休の無料メールホットライン「クライシス・メール・ライン(Crisis Text Line)」を立ち上げました。これまでに74万通余りのメッセージが人間関係や自殺願望で悩むあらゆる年齢の人々から届いています。

ホットラインではボランティアのカウンセラーがメール送信者とより意義のあるやりとりができるようアルゴリズムを使用しています。また、アルゴリズムはメールの傾向を追跡し、最も助けが必要な送信者を見つけ出したり、特定の問題に関連するキーワードを明らかにしたりするのに役立っています。

ルブリンは「傷ついた人がどこにいても、ホットラインを気軽に使ってほしい」と思いを語っています。


ハンス・ヨルゲン・ワイバーグ:ビー・マイ・アイズ(Be My Eyes)

低視力者のハンス・ヨルゲン・ワイバーグは2015年に「ビー・マイ・アイズ(Be My Eyes)」のアプリを開発しました。このアプリを使えば、ボランティアが視覚障がい者や低視力者といつでもつながることができ、ビデオ通話を通じて、料理や着替えなどの日常生活の手助けができます。

「ビー・マイ・アイズ」には世界中の180万人のボランティアが登録し、10万人の視覚障がい者や低視力者に180以上の言語で利用できる無料のサービスを提供しています(注:ボランティアとサービスを利用する視覚障がい者・低視力者の数はますます増加中)。

「このアプリは障がい者と健常者の障壁を取り除くと同時に、文化の障壁も打ち破るものだ」というワインバークの言葉には強い願いが込められています。


最新テクノロジーをどう利用するかは私たち人間次第。彼らの活躍を見て、誰もがその恩恵を享受できる社会をつくるのも私たち人間次第だと気づかされました。

(佐々 とも)

※この記事は2019年3月25日にYes! Magazineに掲載されたSydney Worth氏の記事(How Technology Is Making the World More Accessible)の要約です。

 

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