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Case.51

トゥルー・プライス(真の価格)の支払いを消費者が選べる! オランダのトゥルー・プライスのお店

気候変動や水質汚濁などの環境的なコストや、強制労働、児童労働などの社会的なコストを含めた「トゥルー・プライス(真の価格)」を測定し、その値段で商品を買ってもらおうというムーブメントが、オランダのアムステルダムから始まっています。

「トゥルー・プライス」は、2012年にアムステルダムで非営利団体として設立されました。ミッションは、「消費者が商品の真の価格を知り、自発的にその価格を支払うことを通して、誰もが購入できる持続可能な商品を実現すること」です。

このミッションのため、トゥルー・プライスでは、社会的コストや環境コストといった社会的インパクトを測定し、金銭換算するための手法やツールを開発してきました。トゥルー・プライスのウェブサイトでは、さまざまな企業が生産するコーヒーやチョコレート、パン、Tシャツなどについて、トゥルー・プライスを測定した結果のレポートを読むことができます。企業にとっては、測定を依頼することで、その会社が取り組んでいる社会的コストや環境コストを考慮する取り組みが、成果をあげているのかを確認することができます。

さらに2020年には、トゥルー・プライスで売られている商品を購入できる実店舗が誕生しました。2022年5月現在、5店舗がトゥルー・プライスのウェブサイトで紹介されています。その一つが、アムステルダムのスーパー「De Aanzet」です。このスーパーでは、チョコレート、コーヒー、野菜などに、「通常価格」と「トゥルー・プライス」の両方が記されていて、消費者はどちらの価格でも購入できます。トゥルー・プライスで購入された場合の差額分は、De Aanzetによって、「真の価格」を阻む問題を正すためのプロジェクトに割り当てられます。

トゥルー・プライスの店舗には、カフェもあります(2022年5月現在、コロナ流行の影響で休業中)。メニューをみると、エスプレッソの通常価格は3ユーロ。それに対して、トゥルー・プライスは3.04セントです。差分の4セントの内訳も、低賃金労働1セント、気候変動1セント、その他2セントなど、メニューに詳しく表示されています。

(新津 尚子)

 

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