トービン税
トービン税(別名:通貨取引税)とは、すべての通貨取引に税金を課すことによって、短期間に通貨売買を繰り返す投機取引を抑制するための税金です。ノーベル経済学賞受賞者のジェームス・トービン博士が1972年に提唱しました。
近年では、この税収を発展途上国の開発資金にしようという動きが活発になっています。トービン税は低率であっても課税対象額が大きいため、多額の税収が見込まれるからです。例えば、0.05%の課税で年間1,500億ドルの税収が見込まれるという試算もあります。
たたしトービン税を導入する国が少ない場合、投機取引はその国を避けて行われてしまうため、あまり効果はありません。そこで国際組織が中心となり、世界が共同でトービン税を導入するのが理想的だと言われています。
世界をみると、カナダの国会が1999年に「国際社会と協力して金融取引に課税すべき」との提案を採択しているほか、2001年にはフランス議会がEU域内のすべての加盟国が賛同することを条件にトービン税の導入を決議しています。また2004年にはベルギーの国会でもトービン税法案を可決しました。
□参考:『日本の税金 新版』(三木義一/岩波新書)
□参考:『トービン税入門』(ブリュノ・ジュタン/社会評論社)