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ネガティブ・ケイパビリティ

ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability)とは、「答えが見えない問題に対して、性急に解決策や理由を求めずに、そこに留まりつづける力」のことです。

もともとは英国の作家キーツが1817年に弟に向けた手紙の中で使用した言葉ですが、約170年後に英国出身の精神科医のビオンが引用したことで、精神医学などの分野で用いられるようになりました。患者との対話の中で感じる不可思議さや疑問をそのまま持ち続ける、治療の効果が出なくても焦らずに寄り添うといったネガティブ・ケイパビリティが、精神医学では求められます。

この能力は現代社会を生きる私たちにも求められると、昨今ネガティブ・ケイパビリティへの関心が高まっています。多様性が鍵といわれる現代社会では、考え方の異なる人々とコミュニケーションでも、すぐにわかったつもりになったり、「よくわからない」とあきらめてしまうのではなく、わからなさの中でもコミュニケーションをとりつづけようとする力が必要です。また、VUCAの時代と言われるように、変化が大きく先の見えない時代、企業や組織も、目の前の解決策に飛びつかずに、じっくりと腰を据えて考え続ける力が必要です。

時代のペースが速まり、「ぱっと考え、すぐに結論を出す」ことが求められる社会だからこそ、そのプレッシャーの中でも、「よくわからない」「答えがない」状態に留まりつづけ、根本的な解決策を考え出す力が求められているのです。

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