地域経済を取り戻す
今後の経済において、重視すべきものが「地域経済」です。グローバル化とIT化によって、どんな地域も日本全国・世界につながっている時代です。しかし、そのような"大きな経済"の一部に取り込まれるのではない、地域のあり方も可能です。
地域にある資源を地域の人たちが活かすことで、地域の人たちが必要とするものを作り、地域の中で経済とお金と雇用を循環していくことは、地域のレジリエンス(しなやかな強さ)と地域の人たちの安心感や幸せを創り出すのです。それは、地域外に背を向けて孤立するということではありません。全国や世界とつながりつつも、エネルギーや食べ物、お金や雇用など、地域にとって不可欠なものは少しずつでも「自分たちの手に取り戻す」こと。これは今後あらゆる地域にとって考えるべき重要な方向性だと考えています。
JFS「地域の経済と幸せ」プロジェクト
国際NGO ジャパン・フォー・サステナビリティが行った、幸せと地域経済に関する調査について紹介します。グローバル化を一因として深刻化した、地球環境問題や格差の拡大に対し、世界的にも、ローカリゼーションの動きが広がっています。
海外の有識者との意見交換なども通じて、世界にも、日本にも、魅力的な考え方や取り組みがたくさんあることがわかってきました。
参考図書
『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』
少子高齢化や人口減少、産業構造の変化が進む中で、暮らしや地域の持続可能性を保つために、自分たちで手綱を握れる経済を取り戻すための一冊。
地元経済の現状を可視化し、お金や雇用を外部に依存する割合を減らすための考え方やツール、好循環に転換した事例を紹介しています。金融危機やエネルギー問題、気候変動危機など外部の変化に対して「しなやかに立ち直る力(レジリエンス)」を高めることにも役立ちます。
『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』
枝廣淳子(著)
岩波書店(岩波新書)
2018年2月発刊
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企業や自治体の環境・CSR・サステナブル戦略に役立つ情報を提供するWEBサイト「おしえて!アミタさん」で、地域内での経済循環を高めるしくみについて、新津尚子研究員が連載コラムを執筆。持続可能社会の鍵をにぎる「地域分散シナリオ」について、参考事例などを交えて解説しています。
2019年3月19日:第1回
漏れバケツ理論|興廃の鍵である地域内経済循環と、CSRの可能性
2019年4月16日:第2回
トットネスの事例|REconomy 地元経済を取り戻す取り組み
2019年5月21日:第3回
地元からの調達でお金の漏れ穴を塞ぐ:英国と国内の事例
2019年6月14日:第4回
LM3(Local Multiplier3)|測定によって見える地域への経済的貢献
2019年7月11日:第5回
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2019年8月15日:第6回
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