米国の心理学者、幸福の負の側面を検証
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(エール大学より)
米国・エール大学の心理学者であるジューン・グラバー氏は、躁鬱病の躁状態のときに見られる肯定的な感情の極端かつ有害な側面を目の当たりにし、精神疾患と診断されていない人々にとって、幸福がマイナスとなる可能性はあるのだろうか、という問題を提起した。
「我々は、特定の機能を果たすために、異なる感情を進化させてきた。幸福も例外ではない。つまり、幸福はある特定の機能を果たすものであり、幸福が常に適応的であるとは限らない」とグラバー氏は述べる。同氏と同僚らによる研究成果は、学術誌『Perspectives on Psychological Science』の2011年5月号に掲載されている。
研究の結果、極度の幸福は、暴飲暴食や薬物使用につながる可能性があること、コンピューターゲームで競う場合、幸せな時よりも怒っている時の方が良い点数をとる傾向があること、達成感は自尊心の裏返しであり、場合によっては他者とのつながりを希薄にする可能性があること、幸福の追求に最大の価値を置いている人は、気分が落ち込みやすい傾向があることなどが明らかになった。
「豊かで幸福な生活を送りたければ、積極的に幸福を追求することをやめた方がいいかもしれない。それよりむしろ、他者との深いつながりを促進するような意味のある活動に参加し、自分自身の心の状態を受け入れる中立的態度を醸成するよう試みるべき」と、グラバー氏は提言している。