2012.09.07
社会の所得格差の広がり、健康にも影響:死亡リスクも上昇
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(英医師会誌より)
社会の所得格差が広がると、死亡するリスクが高まり、また健康に対する自己評価が低くなる、こんな研究が2009年11月に英国の『英医師会誌(BMJ)』に掲載された。この研究は、過去に行われた28の研究による約6,000万人分のデータについてメタ分析を行ったもの。所得格差と健康との間により強い結びつきが見られたのは、所得格差が大きい社会のデータのほか、1990年以降のデータなどとのこと。
例えば、ジニ係数(これは社会の所得格差を表す尺度で、0から1の間の値をとる。この数値が大きいほど、社会の所得格差は大きい)が0.3を超えている地域では、ジニ係数が0.05上昇するごとに、死亡リスクは8%上昇するという。
またこの傾向は、社会経済的地位、年齢、性別に関係なく現れたとのこと。この所得格差の影響が、貧しい人だけではなく、他の人たちにも表れる「波及効果」は、不快な社会的比較による心理的・社会的なストレスや、社会的つながりの弱体化が原因と考えられてきたという。
2007年の時点でOECDに加盟している30カ国のうち、ジニ係数が0.3を超えているのは15カ国であった。これらの国のジニ係数が0.3未満だった場合、150万人以上の死亡を避けられる計算になるとのこと。
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http://www.bmj.com/content/339/bmj.b4471.full