2012.11.14
先進国は、社会的衰退と不幸の運命にあるのか
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(『Social Indicators Research』誌より)
『Social Indicators Research』誌は7月7日、「お金、社会性、幸福:先進国は、社会的衰退と不幸の運命にあるのか」と題する論文をオンライン版に掲載した。
ロバート・パットナムによる草分け的研究、『孤独なボウリング――米国コミュニティの崩壊と再生』によると、近年、米国では社会関係や共有する価値観や信念の体系に衰退がみられるという。それでは、この傾向は米国に独自のものなのだろうか。
この論文の主な目的は、次の2つの問いに答えることにあるという。
(1)1980年から2005年の間、西欧、カナダ、オーストラリア、日本において、社会関係資本は衰退しているのか。社会関係資本の衰退は近代社会や豊かな社会における一般的な動向なのか、それとも米国に特徴的なものなのか。
(2)社会関係資本の動向は、主観的幸福の動向を説明する手助けになるのか。
研究の結果、社会関係資本の測定に用いたいくつかの要素と、幸福と生活満足との間には、正の相関が見られたという。さらにこの25年間、最も近代的な先進国の中には、司法制度、宗教法人、議会、行政に対する人々の信頼が失われている国があることを結果は示しているという。