2012年の自殺者数、15年ぶりに3万人を下回る
内閣府の2013年3月14日の発表によると、2012年の全国の自殺者(確定値)は前年から9.1%減少して2万7858人で、15年ぶりに年間3万人を下回った。性別では、男性が69.2%、年代別では「60歳代」が17.9%で最も多い。職業別では、「無職者」が59.8%と最も多く、原因・動機が明らかなもののうち、「健康問題」が約半数を占め最も多いものの、3年連続減少しており、2番目の「経済・生活問題」も3年連続で大幅に減少した。
日本の自殺率はOECD諸国の中では第2位で、アメリカの2倍、イタリアやイギリスの3倍と言われるほど高い。政府はこの状況を改善すべく、2006年の「自殺対策基本法」に基づき、2007年に「自殺総合対策大綱」を策定。2012年8月にも全体的な見直しを行い、地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策への転換などを進めている。
2009年度の補正予算では3年間で100億円の地域自殺対策緊急強化基金を設置し、都道府県での相談体制整備や人材養成等を進めている。また、自殺企図者の大多数はうつ病等の精神疾患を発症していることから,自殺対策の重要な柱の1つとして、厚生労働省が一般内科向けの「かかりつけ医研修」によって、かかりつけ医のうつ病等の精神疾患の診断技術の向上をはかっている。
また、返済しきれないほどの借金を抱えてしまう「多重債務者」の増加が自殺にもつながる深刻な社会問題となったことから、上限金利を引下げ、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えると新規の借入れができなくなるほか、借入れの際「年収を証明する書類」を求めるなどの改正貸金業法が2010年に施行されている。