2018.12.18
「牛の角を切らないで」スイス国民投票で問う
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スイスで2018年11月25日、家畜の角切りをめぐる国民投票が行われました。角を切らないで飼育する農家に補助金を支給するかどうかを国民に問うもので、反対票が約55%で否決されましたが、家畜の飼育環境に一石を投じる出来事となりました。
現在、スイスの畜産農家で飼育されている牛の4分の3、山羊の3分の1に角がありません。角がない家畜にするには、角がない子が生まれるよう品種改良するほか、若い家畜の角の根元を焼いて除角する方法があります。除角する際には家畜に痛みを与えることになりますが、飼育しやすいという理由でスイスの畜産現場ではこの二十年間で角のない家畜が増えています。
直接民主制をとるスイスでは、国民が10万人以上の署名を集めれば、憲法改正に向けた国民投票を行うための提案ができます。今回は農家の男性が「家畜の尊厳を守る」ために10万人以上の署名を集め、角を切らない飼育は一般的に費用が高くつくため、角を生やした牛や山羊を飼育する畜産農家に補助金を支給すべきだという提案を発議しました。
家畜飼育のあり方を考える「アニマルウェルフェア」の普及に向けた法改正を求める声が高まっています。
(佐々 とも)
- この記事について詳しくはこちら(英語)
https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/votes/20181125/hornkuh-initiative.html - 参考 アニマルウェルフェア(キーワード解説)
https://www.ishes.org/keywords/2018/kwd_id002491.html