2020.06.28
CO2排出量、新型コロナによる制限で大幅に減少
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新型コロナウイルス対策で経済社会活動が制限され、世界のCO2排出量が劇的に減少しています。今年のCO2排出量は、リーマン・ショック後の景気後退による減少を大きく上回ると予想されます。
英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に2020年5月19日付けで掲載された研究報告では、今年の世界のCO2排出量の減少は、前年比4.2~7.5%減になると推定されています。減少率に幅があるのは、経済社会活動の制限期間の長さや回復の速さによる排出量の差異を考慮しているためです。2009年の景気後退では、排出量は前年比1.4%減でしたが、今年はそれを大幅に上回る可能性があります。排出量減少のカギとなるのがエネルギー。国際エネルギー機関(IEA)は、今年の世界のエネルギー需要は激減し、前年比6%低下すると推定しています。
パンデミックの影響が、CO2排出削減の転換期となるのでしょうか。前回の景気後退では、排出量は減少したものの、翌年には景気の回復に伴って5.9%増と急増しました。今回も同様の反動が予想されますが、長期的な観点から、クリーンエネルギーや省エネ技術の開発・導入などによって経済を回復させる「グリーン・リカバリー」が求められています。
(佐々 とも)
- ネイチャー・クライメート・チェンジ「Temporary reduction in daily global CO2 emissions during the COVID-19 forced confinement」
https://www.nature.com/articles/s41558-020-0797-x - IEA「Global Energy Review 2020」
https://www.iea.org/reports/global-energy-review-2020/natural-gas - グローバルカーボンプロジェクト「Rapid growth in CO2 emissions after the 2008–2009 global financial crisis」
https://www.globalcarbonproject.org/global/pdf/pep/Peters_2012_RapidGrowthCO2EmissionsAfter2008-2009GFC.NatureCC.pdf