2021.04.28
英国政府、『生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー』を発表:生物多様性の崩壊は経済・生活・幸福を危険にさらす
The Economics of Biodiversity: The Dasgupta Review – Full Report
https://www.gov.uk/government/publications/final-report-the-economics-of-bio diversity-the-dasgupta-review
今年(2021年)、中国で開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に先駆けて、英国政府はこの2月、生物多様性の経済的側面に関する報告書『生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー』を発表しました。
このレビューでは、生物多様性の大規模な減少が、生産性、レジリエンス、自然の適応力を損ない、経済・生活・幸福を危険にさらしていることを明らかにし、主な対応策として次の三つを挙げています。
- 財やサービスの形で自然に求める量は、持続可能な供給の量を上回ってはいけない。世界規模で自然による供給量を増やすためには、保護区域の拡大と管理の改善、自然を基盤とした解決策への投資の増加、損失をもたらす生産・消費の阻止などの政策が必要である。
- 経済的成功を測るために、GDPとは異なる経済指標を採用し、自然資産への投資で生じる利益を考慮に入れ、別の資産へ投資した場合(具体例として、生物多様性を破壊して商業施設を建設するなど)に生じるトレードオフ(相反する関係)を明確にする包括的な富の測定を行うべきである。
- これらの転換を可能にし、将来世代にわたって維持できるよう、現在の制度(特に金融と教育)を変えなければならない。例えば、自然資産を拡大する公的・民間の資金の流れを増やす一方、自然資産を縮小するそれらの流れを減らしたり、教育政策に自然界を学ぶ分野をしっかりと確立し、市民が十分な知識を持って選択し、転換を要求できるようにしたりする。
(佐々 とも)
- 『生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー』について詳しくはこちら(英語)
https://www.gov.uk/government/publications/final-report-the-economics-of-bio diversity-the-dasgupta-review