欧州連合(EU)、採卵鶏などのケージ飼育を禁止する法案提出へ前進
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欧州委員会は、2021年6月30日、採卵鶏や母豚などのケージ飼いを段階的に禁止していく方針を発表しました。この方針は、欧州市民イニシアチブ(European Citizens' Initiative)の「ケージ時代を終わりにしよう(End the Cage Age)」キャンペーンによる、採卵鶏や母豚、子牛、雌鶏などのケージ飼育を禁止する法律を求める要請を受けて決められたものです。
欧州市民イニシアチブとは、EUの政策について、最低7カ国のEU加盟国から100万筆以上の署名を集めれば、欧州委員会に対して立法を提案することができる制度です。
今回、欧州市民イニシアチブ「ケージ時代を終わりにしよう」は、1年間にNGO170組織と協力し、28カ国のEU加盟国から140万筆の署名を集めました。この要請を受け、4月15日に欧州議会で公聴会を開かれ、6月10日には本会議で議論が行われました。
こうしたプロセスを経て、欧州委員会は、要請を受けた動物のケージ飼いを段階的に禁止していく法案を提出する方針を発表しました。この法案は、2027年にアニマルウェルフェア法の一部として施行されることを目指しており、2023年末までにケージ禁止までの移行期間も含めた法案が提出される計画です。
なお、EUでは2012年に採卵鶏のバタリーケージ(一羽あたりB5用紙サイズ程度のケージのこと)の使用が禁止されていますが、この決定が行われたのは1999年。禁止までに12年という十分な移行期間が設けられていました。
(新津 尚子)