「飛行機を頻繁に利用する人」への課税は、CO2排出削減と「公平な旅行」に役立つ:英国の研究より
Photo by Erik Odiin on Unsplash.
https://unsplash.com/@odiin
(ニューエコノミクス財団より)
「飛行機を頻繁に利用する人への課税によって、コロナ後には、英国の貧しい世帯は、現在よりも安く空の旅を楽しめる」ーーそんな研究が2021年7月10日、英国のシンクタンク「ニューエコノミクス財団」と気候に関するチャリティー団体「ポッシブル」によって発表されました。
このFrequent Flyer Levy(高頻度搭乗税)は、1年間のうち初回の休暇のためのフライトにはかかりませんが、2回目のフライトには25ポンド、3回目には60ポンドと、搭乗回数が増えるほど、高い税金が課されるという案です。
現在、英国の航空旅客税は、すべての航空券に一律に課されており、エコノミークラスの場合、短距離フライトには13ポンド、長距離フライトには78ポンドとなっています。これを、高頻度搭乗税に切り替えると、その年のはじめのフライト料金が下がります。よって、費用の問題から飛行機に乗らない人にとっては、海外に出かけるチャンスが広がります。
報告書によると、高頻度搭乗税が課された場合、英国の「最も稼ぎのある5分の1」の人々が飛行機に乗る回数は、この税が課されない場合に比べて、30%減少する見込みです。これは、英国の「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」目標を達成する手助けになります。
現行の航空旅客税を一律に引き上げた場合、飛行機に乗る機会がもっとも減ってしまうのは貧しい人々です。それに比べて、高頻度搭乗税は、貧しい人にも環境にも配慮した「最も公平な方法」と、報告書ではしています。
(新津 尚子)