中南米・カリブ諸国、ネットゼロ経済への移行で2030年までに1500万人の雇用を創出できる
Jobs in a net-zero emissions future in Latin America and the Caribbean
https://www.ilo.org/global/about-the-ilo/newsroom/news/WCMS_752088/lang--en/index.htm
新型コロナのパンデミックは社会の脆弱性を浮き彫りにしました。労働者のおよそ半分がインフォーマル(非公式)分野で働く中南米・カリブ諸国は、ロックダウンなどの措置で深刻な影響を受けています。コロナ後の回復のためには、ネットゼロエミッション(炭素排出量実質ゼロ)経済への移行が大きな鍵を握るようです。
国際労働機関(ILO)と米州開発銀行(IDB)がまとめた報告書によると、中南米・カリブ諸国がネットゼロ経済に移行すれば、2030年までに化石燃料の採掘・電力や動物由来の食料生産の関連事業で750万人の雇用が減少する一方、再生可能エネルギー・森林・建築・製造や植物由来の食料生産の関連事業で2250万人の雇用の増加が見込まれます。
とくに同報告書が注目するのが、世界的にどれほど健康的で持続可能な食生活への移行が進むか、ということです。世界の人々が肉・乳製品・魚介類の消費を減らし、穀物・豆類・野菜・果物の消費を増やせば、この地域に新たな雇用が生まれ、地域特有の生物多様性への負荷が小さくなる可能性があります。その背景として中南米・カリブ諸国は地球上の種の40%以上を占め、世界の主要な食料輸出地域に含まれることから、エコシステムの回復や持続可能な農業、長期的にはエコツーリズムで、数百万の雇用の機会が生じると予測されています。
(佐々 とも)
- 報告書『Jobs in a net-zero emissions future in Latin America and the Caribbean(中南米・カリブ諸国におけるネットゼロエミッション未来の雇用)』はこちら
https://www.ilo.org/global/about-the-ilo/newsroom/news/WCMS_752088/lang--en/index.htm