英国王子創設の「アースショット賞」、受賞した実行可能な地球環境ソリューションとは?
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地球環境問題への画期的な取り組みを表彰する「アースショット賞」の第1回授賞式が2021年10月17日にロンドンで開催されました。同賞は英国王立財団とウィリアム王子によって創設され、地球環境が直面している喫緊の課題に対して、今後10年間に実行可能なソリューションを見いだすことを目的としています。2030年まで毎年5部門で受賞者が選ばれ、それぞれ100万ポンドが授与されます。
第1回アースショット賞の受賞者とソリューションは次の通りです。
自然の保護と回復:コスタリカ共和国
1990年代に自然破壊によって広大な森林が半減したことを受け、コスタリカ政府は人々に報酬を支払い、森林保護と生態系回復を行うプログラムを実施。その結果、森林が倍増して豊かな動植物相を取り戻し、エコツーリズムが盛んになったことで40億ドルの経済効果が生まれた。
大気の浄化:タカチャー(TAKACHAR)社、インド
焼却処分により大気汚染の原因になっている農業廃棄物を、燃料や肥料などの商品に変える技術を開発。この技術を用いれば、焼却時の煙が最大98%削減でき、人々の健康被害を食い止めるとともに、二酸化炭素の排出量を大幅に減らすことができる。
海洋の蘇生:コーラル・ビタ(CORAL VITA)社、バハマ
ハリケーンや海水温の上昇で被害を受けたサンゴ礁を蘇生させるため、サンゴを陸上で育成し、従来よりも50倍速く育つ技術を用いて、養殖に取り組んでいる。
ゴミが出ない世界の構築:ミラノ市・食品廃棄物ハブ、イタリア
ミラノ市は世界で初めて食品廃棄物を削減する政策を実施。スーパーや企業の食堂から回収した食品をNGOに必要な市民に届けてもらっている。現在三つのハブ(拠点)があり、各ハブで年間130トンの食品(26万食に相当)が回収されている。
気候の修復:エナプター社・陰イオン交換膜(AEN)式水電解装置、タイ・ドイツ・イタリア
再生可能エネルギー由来の電力から水素ガスを作る技術を開発。水素ガスは温室効果ガスを排出しない「グリーンなエネルギー」として、自動車の燃料や工場の動力源、家庭の暖房などに利用できると期待されている。
(佐々 とも)
世界
- 「アースショット賞」のウェブサイトはこちら(英語)
https://royalfoundation.com/programme/the-earthshot-prize/