欧州で野生哺乳類の個体数が回復の兆し
European Bison : Photo by Gregoire Dubois Some Rights Reserved.
https://www.flickr.com/photos/wildlifepictures/51688527962
(Our World in Dataより)
欧州では、狩猟や森林伐採による生息地の喪失によって絶滅に瀕していた哺乳類が、保護活動と生産性の高い農業のおかげで、再び個体数を増やしつつあります。
ユーラシア大陸最大の草食動物ヨーロッパバイソンは、かつてフランスからウクライナにかけて膨大な数が生息していました。しかし過去500年間に劇的に数を減らし、野生では20世紀初頭に絶滅し、生き残ったのは捕獲された数十頭だけでした。それが保護活動のおかげで、今では2500頭以上が生息しています。
また、ほかの哺乳類もこの50年間で大幅に増加しています。ロンドン動物学協会などの保護団体が協力してまとめた2013年の調査報告書によると、1960年以降、ヒグマなどの16種が再繁殖していることが明らかになりました。
野生哺乳類の回復の成功要因は何だったのでしょうか。ひとつは、狩猟の全面禁止や法的な保護指定区域の設定などの政策を講じたこと。もうひとつは、農地が減少したことです。農業の生産性を高めれば、より狭い面積でより多く収穫できます。利用しなくなった土地を自然に戻すことで、野生動物が繁殖できるのです。
ヨーロッパバイソンは1952年に再野生化を目指して自然に放されました。その後、長きにわたる保護の取り組みが奏功し、今では国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅のおそれがある種のカテゴリー「絶滅危惧II類(VU)」から外され「純絶滅危惧(NT)」に変更されました。
(佐々 とも)
- この記事の原文はこちら(英語)
https://ourworldindata.org/europe-mammal-comeback