「地球が私たちの唯一の株主」:パタゴニア創業者が全株式を環境団体に譲渡
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米国のアウトドア用品大手パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナード氏は、2022年9月14日、パタゴニアの全持ち株を環境団体に譲渡することを発表しました。
今年、創業50年近くになるパタゴニアですが、シュイナード氏は創業当初、気候の危機や生態系の崩壊といったニュースに、パタゴニアの事業もその進行に加担していることに気づき始めました。そこで氏は、自分たちの会社を使って、従来のビジネスのやり方を変えようと決意しました。企業が十分な利益を得ながら正しいことができれば、消費者や他の企業に影響を与えることができ、その過程でシステムを変えられないかと考えたのです。
まずは自社の、環境を傷つけることが少ない素材選びに始まり、毎年売り上げの1%を寄付、ベネフィット・コーポレーションの認証を受けるなど、これまで環境の危機との戦いにベストを尽くしてきましたが、シュイナード氏にはまだ十分とは思えませんでした。パタゴニアの売却や株式の公開といった手段も考えましたが良い選択肢とは思えず、ここに独自のやり方を思いつきます。
シュイナード氏は、パタゴニアの議決権付き株式(全株式の2%)を、同社の価値を守るために作られたパタゴニア・パーパス・トラストに、そして無議決権株式(全株式の98%)を、環境の危機と戦い、自然の保護に専念する新設のホールドファスト・コレクティブに譲渡。毎年ビジネスに再投資した後の余剰金を配当として分配し、その活動資金とするのです。
「50年後の地球の繁栄を望むのであれば、今ある資源でできることをする必要がある。もし、私たちが全力を傾ければ地球を救うことができる」と氏は述べています。
(有光圭子)
- この記事の原文はこちら(英文)
https://www.patagonia.com/ownership/