世界・日本の幸せニュース

ホーム > 世界・日本の幸せニュース > 今注目のカーボンプライシング、世界の現状は?――世界銀行が報告書を発表

世界
2023.06.21

今注目のカーボンプライシング、世界の現状は?――世界銀行が報告書を発表

温室効果ガス(GHG)排出を削減するため、導入が進む「カーボンプライシング」(炭素に価格を付けて、企業や家庭に金銭的な負担を求める政策手法)。その最新の現状と傾向に関する年次報告書が2023年5月、世界銀行により発表されました。

本報告書が注視するのは直接的なカーボンプライシングです。これには「炭素税」「排出量取引制度(ETS)」「カーボンクレジット」があります。

世界で実施されている炭素税とETSは、合計で2021年の68件から73件に増え、世界のGHG排出量の約23%をカバーしています。

カーボンクレジット市場は、急拡大を見せた前年に比べて勢いが衰え、発行量は2021年の4億7800万トンから4億7500万トンに微減しました。

日本については、炭素税として「地球温暖化対策税」があり、税率はCO2排出量1トン当たり289円(約2米ドル)に設定されています。また、政府はカーボンプライシングの導入を含めた「グリーントランスフォーメーション(GX)」構想を掲げています。

パリ協定の目標(気温上昇を2℃以下に抑制)を達成するための必要な価格帯は、CO2排出量1トン当たり50~100米ドル(2030年)ですが、本報告書では昨今のインフレを考慮し、61~122米ドルに調整しています。この価格帯に入るのはEUのETS(109米ドル:2023年3月時点)など、ほとんどが欧州諸国の手法で、日本の炭素価格は、欧米諸国だけでなく、中南米やほかのアジアの国・地域と比べてもかなり低い水準にとどまっています。

(佐々 とも)

新着ニュース一覧

Page Top