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2023.07.29

米国オレゴン州マルトノマ郡、大手石油企業などを訴える 2021年の異常気象を巡って

米国オレゴン州マルトノマ郡、大手石油企業などを訴える 2021年の異常気象を巡って

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米国、オレゴン州マルトノマ郡は2023年6月22日、2021年のヒートドームで生じた気候災害の損害について、エクソンモービルやシェルなど化石燃料と石炭の生産に関わる大手企業や、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに対する訴訟を起こしました。

ヒートドームは、高気圧が長い間停滞することで、その下に熱い空気が閉じ込められて生じる現象です。2021年6月25日から同郡は、過去に例をみない猛烈な熱波に襲われました。3日連続で同郡の気温は、摂氏42.2度、44.4度、46.7度に達しました。これは、この地域の平均気温を最大22度上回り、同郡の観測史上最高の気温となりました。この熱波により、69名が死亡したほか、物的損害のために税金と郡の財源からの多大な支出を余儀なくされました。

その後、世界で最も経験豊富で敬意を集めている気候科学者数名が原因を調査しました。研究結果はすべて「この現象は、大気を汚染した化石燃料の排出が原因である。汚染は地球の気温上昇や、地域の干ばつ・土壌の乾燥をもたらした。こうした状況が、太平洋北西部上空に停滞した高気圧と結びついたことで、普段は温暖な気候の地域が、まるで対流式オーブンのような状態に変わった」というものでした。

郡はこの訴訟で、実際の損害として5,000万ドル、将来の損害として15億ドルを求めている他、人々の健康を守るための公的医療サービスとインフラへの推定500億ドルの財源を求めています。

なお、コンサルティング会社のマッキンゼーについては、「石油大手に助言を行っている」という理由と言われています。今後、このような訴訟が増えていきそうです。

(新津 尚子)

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