カカオの殻を低炭素肥料に変える――民間企業による合同試験プロジェクトが英国で開始される
Photo by Kai Schreiber Some Rights Reserved.
https://www.flickr.com/photos/genista/5168025320/
2023年9月11日、食品飲料会社ネスレ英国・アイルランドは、米穀物商社カーギル、英クリーンテック企業CCmテクノロジーズと合同で、カカオの殻から低炭素肥料を製造する試験的プロジェクトを開始すると発表しました。
試験的プロジェクトの期間は2年間。成功すれば、7000トンの肥料を製造し、ネスレ英国のサプライチェーンにおける農家に供給することができます。この量はネスレ英国が使用する小麦の栽培に使われる肥料総量のおよそ25%に相当します。
カカオの殻は、ネスレの製菓用のカカオを加工するカーギルの施設から生じたもので、「資源の最適化」「炭素回収・有効利用(CCU)」に取り組むCCmテクノロジーズによって肥料ペレットにされます。
また、この低炭素肥料が小麦の収穫高と質、土壌健全性、温室効果ガス排出削減に与える効果について、英農業食品研究会社フェラ・サイエンス(Fera Science Ltd)によって評価される予定です。
このプロジェクトは、ネスレが2050年までにネットゼロ排出目標の達成に向けた解決策の1つ。ネスレ英国・アイルランド、リジェネレーション部門のマット・ライアンは、「農家は世界規模の問題に自分たちが真っ先にさらされていて、それらのリスクはすべての人が依存する食糧システムによって生まれていることに気づいている。私たちは食糧システムのレジリエンスを高める方法を見つけなくてはならない。それには天然資源の利用の最適化が重要になる」と語っています。
(佐々 とも)