ベーシックインカムはメンタルヘルスに良い効果をもたらす:米ミネアポリス市の試験的プロジェクトの中間報告
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米国で貧困家庭を支援するさまざまな取り組みが進められている中、ミネソタ州ミネアポリス市で試験的に実施されている低所得家庭を対象とした「保証ベーシックインカム(guaranteed basic income:GBI)」が、受給者に経済的な安定やメンタルヘルスに良い効果をもたらすことが明らかにされました。
同市のGBIは、無作為に選んだ低所得家庭200世帯に2年間毎月500米ドルを支給するもの。2022年6月から支給が開始され、1年後のミネアポリス連邦準備銀行による調査では、受給家庭200世帯と比較群の支給されない330世帯へ、6つの指標(労働供給、住居の安定、生活費の保障、幸福度、食料の保障、精神的健康)に関して質問する方法がとられています。
その結果から、GBIの受給家庭は、支給されない家庭と比べて、生活費の保障、幸福度、食料の保障、精神的健康が向上していることがわかりました。住居の安定についても良い影響を示すものがいくつかありました。労働供給についてはGBIによる大きな影響は確認できなかったものの、受給によって仕事を減らしたという証拠は見られませんでした。
このベーシックインカムはほかの低所得者向けの支援プログラムと異なり、受給者の購入する品物や店などを制限しません。また同じベーシックインカムでも、所得に関係なく誰でも支給されるユニバーサル・ベーシックインカムは自動化による仕事減少の対策と言われています。そのため貧困問題で有効な政策としてGBIが期待されています。
(佐々 とも)