世界的に高まる水への需要:半数の大企業がサプライチェーンでの「水リスク」に配慮
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企業や政府に環境影響情報を提供する英国の非政府組織CDPは、2024年3月、報告書『供給源での責任:サプライチェーン全体での水に関する取り組みの推進』を発表しました。この報告書は、世界の大企業3,163社への調査結果を元にしたものです。
現在、食料やエネルギーなどへの需要を満たす必要から、水資源への負担が増えています。国連によれば、世界の水需要は2050年までに最大30%増加します。この影響を、世界のサプライチェーンは直に受けます。
本調査では50%(1,542社)が、「サプライチェーンにおける水リスクの問題に向かい合っている」と回答しました。具体的には、サプライヤーとの契約に水に関する要求事項を盛り込む、水に関するデータを収集するなどです。多くの企業が水リスクを考慮していることがわかります。
さらに、623社は、実質的な財務的・戦略的影響を与えかねないサプライチェーンリスクに直面しています。これらのリスクは金額にして、総額770億米ドルに上ると推定されます。79社は、緊急の水不足、洪水、規制、風評リスクにより、総額70億米ドルが差し迫ったリスクに直面しています。
すでに取り組みを進めている企業もあります。14%(443社)は、サプライ・チェーンの水管理を改善するためのインセンティブを取締役会を含めた幹部層に提供しています。調達・購買責任者に金銭的インセンティブを提供している企業も4%(118社)あります。日本企業の花王株式会社もこの中に含まれています。
(新津 尚子)