デンマーク、農業に気候変動緩和策を導入
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デンマーク政府は2024年6月24日、農業分野への気候変動対策を発表しました。畜産業に対する炭素税を導入し、2030年には畜産農家に二酸化炭素換算で1トン当たり120デンマーククローネ(DKK)(約2700円)、2035年には同1トン当たり300DKK(約6800円)の税金を課すことで合意しました(60%の税控除後の額)。
畜産業に狙いを定めたのは、温室効果ガスの排出量が突出して多いためです。「デンマーク国家温室効果ガスインベントリ報告書2023年版」によると、農業分野はエネルギー分野に次いで2番目に温室効果ガスの排出量が多く、農業分野の排出量は国内総排出量の約28%を占めています。しかもその大半が、家畜の飼養過程から出る亜酸化窒素とメタンです(それぞれの総排出量の89%、81%を占める)。デンマークは温室効果ガスの排出を2030年までに1990年比で70%減少することを目標に掲げており、この政策によって、2030年までに年間180万~260万トンの排出量を削減できると見込んでいます。
畜産業への炭素税のほかにも、植林によって25万ヘクタールの森林を造成することや、保全地域として未開発の私有林を少なくとも8万ヘクタール、国有林を2万ヘクタールに拡大すること、2045年までに熱分解により生成したバイオ炭の貯留に100億DKK(約2300億円)相当の補助金制度を実施することなどが計画されています。
(佐々 とも)
- この記事について詳しくはこちら(デンマーク語)
https://via.ritzau.dk/pressemeddelelse/13927192/regeringen-og-parterne-i-gron-trepart-indgar-historisk-aftale-om-et-gront-danmark - 参考:「デンマーク国家温室効果ガスインベントリ報告書2023年版(Denmark’s National Inventory Report 2023)」(英語)
https://dce2.au.dk/pub/SR541.pdf