2024年上半期:激しい雷雨と洪水が自然災害による損害の主要因
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世界最大手のミュンヘン再保険会社は2024年7月31日、『2024年上半期の自然災害に関する報告書』を発表しました。
上半期、世界全体の経済損失額は1200億ドル、保険損害額は600億ドルで、いずれも10年および30年の長期平均値を大きく上回っています。経済損失額の68%、保険損害額の76%が、雷雨・洪水・森林火災といった自然災害によるものです。
最も損失が大きかった自然災害は、元旦に能登半島を襲ったマグニチュード7.5の地震で、全体の推定経済損失額は約100億ドル、保険損害額は約20億ドルでした。
米国の上半期損害統計に大きな影響を与えたのは激しい雷雨で、雷雨の経済損失額450億ドルは過去4番目に大きな額になっています。
1月から6月までの世界の平均気温は産業革命前より約1.5℃上昇し、平均気温は世界のほぼ全域で異常に高いだけでなく、世界各地で最高気温が更新されています。熱波や干ばつは熱中症による死者の増大だけでなく、森林火災の可能性も高めます。
海面水温も、過去30年の平均を0.5℃から1.0℃上回る記録的な高温が続く見込みです。今年、ハリケーンの発生を抑制する傾向のエルニーニョ現象が期待できなければ、より多くのハリケーンが北大西洋で発生する可能性があります。
取締役会メンバーのトーマス・ブルンク氏は「気候変動に伴うリスク変化には、社会、経済、保険業界等のすべてが適応する必要があり、それによって気象災害による損害の拡大が軽減される」と述べています。
(有光圭子)