
不安定な世界の行方--『グローバルリスク報告書』が示す未来

The Global Risks Report 2025
https://reports.weforum.org/docs/WEF_Global_Risks_Report_2025.pdf
2025年1月15日、世界経済フォーラムは、20年目となる『グローバルリスク報告書』を発表しました。本報告書は、世界900人以上の専門家に、短期および長期における主要なリスクについて調査した結果をまとめたものです。
世界情勢を「激変」「不穏」「不安定」「安定」「平和」のいずれに近いかを尋ねた結果、短期(2年)の予測では、52%が「不安定」と回答。さらに31%が「不穏」、5%が「激変」と答えています。長期(10年)の見通しはさらに厳しく、62%が「激変」または「不穏」の時代になると予測しています。
分野別のリスク
報告書では、経済・環境・地政学・社会・テクノロジーの5つの分野ごとにリスクを分析しています。
短期(2年間)のリスク上位は以下の通りです。
1.誤報と偽情報(テクノロジー)
2.異常気象(環境)
3.国家間武力闘争(地政学)
4 社会の2極化(社会)
5 サイバースパイ・戦争(テクノロジー)
一方、長期(10年間)では、環境分野のリスクが上位を占めました。
1.異常気象(環境)
2.生物多様性の喪失と生態系の崩壊(環境)
3.地球システムの危機的変化(環境)
4.天然資源不足(環境)
5.誤報と偽情報(テクノロジー)
見通しは厳しいですが、世界経済フォーラムの取締役、サーディア・ザヒディ氏は、「過去20年間のリスクの軌跡をみると、多国間協力に代わる有効な解決策は存在しないことは明らかです」と指摘し、国際協力の必要性を強調しています。
(新津 尚子)