英国:収入の低い人ほど大きな物価上昇に直面
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2014年10月より英国の独立系シンクタンク、ニュー・エコノミクス財団が取り組んでいるReal Britain Index(RBI)は、英国の人々が直面している物価上昇をより正確に測 ることを目的とした指標です。
ニュー・エコノミクス財団によると、政府による消費者物価指数(CPI: Consumer Price Index)は平均的な世帯が消費するモノやサービスに重点が置かれています。しかし消費は、各世帯の家族構成や収入によって変わってきます。所得の低い世帯ほど食料、光熱費といった必需品にかける割合が高くなるため、近年、食料や電気が大幅に値上がりしたことに伴い、この「消費に対して所得が及ぼす影響」が重要になっています。
RBIは所得によって世帯が何にお金をかけるのかを勘案した上で、全世帯を所得順に最も低い方を1とした10のグループに分け、それぞれに対する真の物価上昇率を示しています。それによると低所得の人々はCPIが示す数値よりも常に大きな物価上昇に直面していることがわかります。
また、収入について見てみると、史上まれに見る低いインフレ率にもかかわらず、収入が物価上昇に追いつかず実収入が落ちていることがわかります。各グループともリーマンショック直後は収入が安定していたものの、その後急激に下がり、特にグループ5~8の中流階級でその傾向が顕著です。問題はその後、2012年~2013年にかけて収入の最も低いグループではさらに14.8%も落ち込んだのに対し、最も高いグループでは3.9%の回復が見られることです。