幸せ研の活動について

幸せ×経済×社会

私たちは、地球からさまざまな資源やエネルギーを取り出して、経済活動を営み、社会の中で生きています。それは何のため? 何を目指して?――究極の目的は「幸せ」でしょう。

幸福を求めて、人は働き、企業は経済活動を展開しているはずですが、現在の働き方や経済のあり方は、「幸せ」につながっていないどころか、将来世代や現世代の幸福を損なっている側面もあります。

将来世代を含め、幸せで持続可能な社会を築いていくためには、どのような経済や社会のあり方が必要なのでしょうか? これまでは気にしなくてもすんでいた、さまざまな「地球の限界」とどのように折り合いを付ければよいのでしょうか? 社会の真の進歩や幸せを何によって測ればよいのでしょうか?

「幸せ」と「経済」と「社会」は互いにつながり、複雑に絡み合っていますから、それらをあわせて考えていく必要があります。「経済は好調だけど、人々の幸せは損なわれ、社会はズタズタ」という状態が続くことはありえないのです。グローバル経済の影響力が強大になりつつある今ほど、「未来世代を含む人々の幸せを支える経済のあり方や社会のあり方」を考え、望ましい方向へ向かう動きや取り組みを創り出すことが急務である時代はないでしょう。

 私たち幸せ経済社会研究所は、このような問題意識から、「幸せとは何なのか」「どのような経済や社会のあり方であれば、幸せを生み出し、支えることができるのか」を内外の理論や事例から学び、分析し、考え、実践に移していくための場や支援を提供しています。

幸せ

「幸せ」は、太古の昔から人々にとっての重要な関心事でした。だれもが「幸せに暮らしたい」と願い、そのためにさまざまな努力をしています。しか し、何があれば幸せになれるのか?――これまでは哲学者や詩人がそれぞれの答えを提供してきたこの問いに対し、科学的な見地からの洞察が提供され始めたの は、つい最近のことです。近年になって幸福研究が爆発的に増え、さまざまな知見が蓄積されるようになってきたのです。

幸せになるための1つのアプローチは、「幸せのメカニズム」を理解し、採り入れていくこと。私たちの読書会やセミナー、情報発信を通して、世界の幸福研究、そして日本人らしい幸福についての研究や実践のエッセンスなどをぜひ知ってもらえればと思います。

経済

 個人にせよ、組織や地域にせよ、社会にせよ、"生きていく"ために経済はなくてはならないものです。しかし、「何を目的とするどのような経済なの か」によって、幸せを生み出す経済もあれば、逆に、不幸を生み出してしまう経済もあります。現在はよくても、未来世代の幸せを損なう経済をそのままにする わけにはいきません。

 この観点から、私たちの生きる現代社会で考えるべきことの1つが「経済成長」です。これまでは「経済が成長することが幸せにつながる」と考えられ てきました。いまでも各国とも「経済成長」にしのぎをけずっています。しかし、地球が支えられる力を超えて、私たち人間の経済活動の影響力が大きくなって しまった現在、はたして「経済成長」イコールよいもの、という考え方を続けることはできるのでしょうか。「どのような経済成長ならよいのか?」「成長しな い経済というのがありえるのか?」「途上国や地方の経済成長をどう考えたらよいのか?」などを考えていく必要があります。

 もう1つ、今後の経済において、重視すべきものが「地域経済」です。グローバル化とIT化によって、どんな地域も日本全国・世界につながっている時代です。しかし、そのような"大きな経済"の一部に取り込まれるのではない、地域のあり方も可能です。

地域にある資源を地域の人たちが活かすことで、地域の人たちが必要とするものを作り、地域の中で経済とお金と雇用を循環していくことは、地域のレジ リエンス(しなやかな強さ)と地域の人たちの安心感や幸せを創り出すのです。それは、地域外に背を向けて孤立するということではありません。全国や世界と つながりつつも、エネルギーや食べ物、お金や雇用など、地域にとって不可欠なものは少しずつでも「自分たちの手に取り戻す」こと。これは今後あらゆる地域 にとって考えるべき重要な方向性だと考え、その実現のためにプロジェクトの推進や支援をしています。

社会

 「人間」というのは、「人の間」と書くように、私たちは人々の中で生きていく、社会的存在です。宮沢賢治が「世界がぜんたい幸福にならないうちは 個人の幸福はあり得ない」と書いたように、また、リチャード・ウィルキンソンと ケイト・ピケットの研究が「格差が大きい社会ほど、健康問題や社会問題が大きくなる」ことを示しているように、格差や貧困の問題や、社会の中での互いへの 信頼や支え合いといった社会関係性資本も、幸せにとって大変重要であるとともに、経済のあり方によって大きな影響を受けます。

 日本の場合は特に、これから人口減少・高齢化の進む中で、どのような社会を構築していく必要があるのでしょうか? どのような暮らし方や働き方が ありうるのでしょうか? 「これまでどおり」ではない、新しい社会のカタチや人々のあり方が求められる時代であると考えています。そのための勉強や研究、 実践や支援を進めていきます。

読書会・セミナー

「幸せ」・「経済」・「社会」およびそれらのつながりについて、内外の様々な本を読みながら、学び、議論することで、考えを広げ、深める読書会やセミナーを開催しています。

「世界の幸せ研究の最新の知見を知りたい」

「現在の経済のあり方はなぜどのような問題を抱えているのか?」

「より望ましい経済とはどのようなあり方や事例があるのか?」

「格差や貧困、社会の絆について、これまでの推移や現状、望ましい社会に向けての考え方や取り組みは?」

といったニーズや問い、問題意識に応える知的な刺激に満ちた場です。読書会ですが、大事なポイントを解説し、みんなで考えを深めるワークショップを採り入れて進めますので、課題図書を読む時間がなくても、本を持っていなくても、気軽にご参加いただけます。

幸せと経済と社会について考える読書会

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