世界的な破滅的危機:今そこにある危機と出現しつつある危機
Global Catastrophic Risk 2016
https://api.globalchallenges.org/static/reports/Global-Catastrophic-Risk-Annual-Report-2016.pdf
(Global Challenges Foundationより)
人類を脅かす危機について問題意識を喚起するスイスの財団Global Challenges Foundationは、世界的な破滅的危機に関する2016年版の報告書を発表しました。
この報告書では「世界的な破滅的危機」を、世界人口のおよそ10%が死に至るような事象・過程の危機であると定義し、こうした危機がとてつもない規模であり、現在地球上に暮らす人々だけでなく将来世代をも脅かすものであるにもかかわらず、十分な関心が払われていないと指摘しています。
こうした破滅的危機は「いつ起こるかもしれない、今そこにある危機」と「将来的に起こる可能性の高い、出現しつつある危機」の2つのカテゴリーに分けられ、「今そこにある危機」では世界的なパンデミックや核戦争が、一方「出現しつつある危機」では破壊的な気候変動やバイオテクノロジー・AI(人工知能)などの新たなテクノロジーによって引き起こされるこれまでに例のない危機が最も重大なものとして挙げられています。
報告書は、これらの危機を回避・軽減する対策についても考察しています。例えば、パンデミックではワクチン生産施設を世界中に分布させるなど途上国が最悪の事態に対応できるようにする、また気候変動では引き続き各国が炭素税など排出量削減のためのメカニズムを改善し実施することなどです。また、代替食料を開発するなど世界的大惨事から回復するための戦略や技術に焦点を当て、将来世代の利益を意思決定の枠組みに取り込むことなどが、すべての危機に共通する対応策として提案されています。