ベーシックインカムが導入されても、人々は働き続ける:ケニアでの研究結果
Photo by CIAT Some Rights Reserved.
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2DU_Kenya_86_(5367322642).jpg
(ベーシックインカム世界ネットワークより)
ニューヨークを拠点に活動している非営利組織GiveDirectlyは、ケニアの村で2016年10月から行っているベーシックインカムの試験的なプログラムの分析結果を発表しました。
ベーシックインカムとは、「すべての人々に無条件に一定の所得を与える」という構想です。1970年代のヨーロッパで議論がはじまり、2000年代になってからは世界の他の地域や日本でも話題にのぼるようになりました。
同プログラムの95名の参加者は、12年間にわたり、自由に使えるお金を毎月約22ドル受け取ります。このプログラム以前は、多くの村民が一日0.75ドル以下の収入で暮らしていましたが、プログラム開始後は一日0.75ドル以下で暮らす人はいなくなりました。
このプログラムの初めての研究結果(電話調査と小グループでのインタビューによる調査)を抜粋してご紹介します。
「ベーシックインカムのお金をどのように使ったか」についての回答
- 全て漁網と浮きを買うために使った。
- ほとんどは、家畜のヤギを飼うために使った。
- 食べ物を買うために使ったほかは、貯金した。
ベーシックインカムの議論では、「ベーシックインカムを得ることで、人々は働かなくなるのではないか」という意見がよく出ます。今回の調査結果では、「仕事をやめるかどうか」については、多くの人が「仕事を続ける」と回答しています。関連する回答を紹介します。
- ベーシックインカムは、仕事に対する気持ちを変えた。自動車運転の教習を終えて、すぐにでも仕事を探したいと思っている。
- 高齢で病気がちなので、働かないだろう。
- 借金することなく全ての費用を支払うために、もうすこし収入が必要なので、小さなビジネスと炭焼きを続ける。
研究結果からは、ベーシックインカムが導入されても、人々が仕事をやめたり、お金をお酒に費やしたりしていないことがわかりました。
(新津 尚子)