「人間の幸福」という観点からの人工知能の国際標準規格化プロジェクト
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人工知能(AI)の開発が進むにつれて、個人情報の侵害や、AI兵器など戦争への利用を心配する声が聞かれるようになりました。こうした中、米国電気電子学会(IEEE)では、人間の幸福という観点から人工知能を考えるプロジェクトが進められています。
IEEEは無線LANなどの標準規格で知られている組織です。標準規格化を行うことで、「会社ごとに規格が異なるために製品が使えない」といった事態を防ぐことができます。
IEEEの団体のIEEEスタンダード・アソシエーションでは、様々な標準規格化のプロジェクトが進められています。そのひとつが「倫理的な人工知能と自律システムのための幸福測定標準規格(The Wellbeing Metrics Standard for Ethical Artificial Intelligence and Autonomous Systems)」プロジェクト(the IEEE 7010 )です。
この標準規格化プロジェクトによって、プログラマーやエンジニアが生み出す製品やサービスが、人間の幸福を高めるものなのかを考えることが可能になります。人工知能や自律システムの倫理面を考える上でも、個人レベルと社会レベルでの精神的・感情的な健康状態を評価することは必要です。
このプロジェクトには作業グループがあり、プログラマーやエンジニアの他、経済学者や社会学者、哲学者など関心のある参加者を広く募っています。作業グループでの議論や投票を経た上で、規格は発行されます。
(新津 尚子)
- The IEEE 7010のサイトはこちら(英語)
http://standards.ieee.org/develop/project/7010.html