英国:企業に男女間の賃金格差の公表を義務づける―民族や障がい者の賃金格差にも拡大される可能性
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(Apoliticalより)
英国では、2017年4月に施行された法律により、従業員250名以上の企業は、男女間の賃金と賞与の格差を毎年公表することが義務づけられました。
例えば、英国の男性のCEOは平均120,000ドルの賞与を受け取っているのに対して、女性は20,000ドルしか受け取っていないなど、この法律の施行によって、賃金や賞与の格差に注目が集まっています。
また、10月にロンドンで行われた「性別による賃金格差会議2017」で、女性担当大臣(Minister for Women)であるアン・ミルトン氏は、この法律は透明性を重視する新時代の始まりに過ぎないとして、「はっきりしていることは、次は、民族と障がい者ということです。サー・ジョン・パーカー氏が、この領域拡大の取り組みを率いています」と、人種と障がい者などについても同様の取り組みを行う可能性を示唆しました。
ただし、多くの人が現状を知ることは、問題に取り組む上で不可欠である一方で、格差を公表することによって、「守ろうとしている人々」をリスクにさらす可能性もあります。
リスクのひとつは、このようなデータによって、不利な立場におかれる分野に参入することを女性が避けることになり、それがジェンダー差別とステレオタイプを強める可能性です。また、女性が行なっている業務を外部委託することによって、企業が男女格差の監査結果を良くすることができることも問題です。
(新津 尚子)
※この記事の原文は、社会奉仕のイノベーターのための国際的プラットフォーム「Apolitical」に掲載されたものです。