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2016.03.01
お知らせ

幸せ経済社会研究所を立ち上げて5年~これまでの歩みとこれからの役割

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新しい年が始まりました。2011年1月に、幸せ経済社会研究所を立ち上げましたので、ちょうど5年たったことになります。

この年末年始に、改めて幸せ研の5年間を振り返り、今の社会における役割を考えておりました。「幸せ研の役割」「幸せ・経済・社会のそれぞれについて」「現在の問題意識と今後の方向性」「幸せ研の歩みと生み出してきたもの」を少し整理してみました。みなさんのお考えやご感想をいただけたらうれしいです。

                      (幸せ経済社会研究所所長 枝廣淳子)

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

【幸せ経済社会研究所の役割】

私たちは、地球からさまざまな資源やエネルギーを取り出して、経済活動を営み、社会の中で生きています。それは何のため? 何を目指して?――究極の目的は「幸せ」でしょう。

幸福を求めて、人は働き、企業は経済活動を展開しているはずですが、現在の働き方や経済のあり方は、「幸せ」につながっていないどころか、将来世代や現世代の幸福を損なっている側面もあります。

将来世代を含め、幸せで持続可能な社会を築いていくためには、どのような経済や社会のあり方が必要なのでしょうか? これまでは気にしなくてもすんでいた、さまざまな「地球の限界」とどのように折り合いを付ければよいのでしょうか?社会の真の進歩や幸せを何によって測ればよいのでしょうか?

「幸せ」と「経済」と「社会」は互いにつながり、複雑に絡み合っていますから、それらをあわせて考えていく必要があります。「経済は好調だけど、人々の幸せは損なわれ、社会はズタズタ」という状態が続くことはありえないのです。グローバル経済の影響力が強大になりつつある今ほど、「未来世代を含む人々の幸せを支える経済のあり方や社会のあり方」を考え、望ましい方向へ向かう動きや取り組みを創り出すことが急務である時代はないでしょう。

私たち幸せ経済社会研究所は、このような問題意識から、「幸せとは何なのか」「どのような経済や社会のあり方であれば、幸せを生み出し、支えることができるのか」を内外の理論や事例から学び、分析し、考え、実践に移していくための場や支援を提供しています。

【幸せについて】

「幸せ」は、太古の昔から人々にとっての重要な関心事でした。だれもが「幸せに暮らしたい」と願い、そのためにさまざまな努力をしています。しかし、何があれば幸せになれるのか?――これまでは哲学者や詩人がそれぞれの答えを提供してきたこの問いに対し、科学的な見地からの洞察が提供され始めたのは、つい最近のことです。近年になって幸福研究が爆発的に増え、さまざまな知見が蓄積されるようになってきたのです。

幸せになるための1つのアプローチは、「幸せのメカニズム」を理解し、採り入れていくこと。私たちの読書会やセミナー、情報発信を通して、世界の幸福研究、そして日本人らしい幸福についての研究や実践のエッセンスなどをぜひ知ってもらえればと思います。

【経済について】

個人にせよ、組織や地域にせよ、社会にせよ、"生きていく"ために経済はなくてはならないものです。しかし、「何を目的とするどのような経済なのか」によって、幸せを生み出す経済もあれば、逆に、不幸を生み出してしまう経済もあります。現在はよくても、未来世代の幸せを損なう経済をそのままにするわけにはいきません。

この観点から、私たちの生きる現代社会で考えるべきことの1つが「経済成長」です。これまでは「経済が成長することが幸せにつながる」と考えられてきました。いまでも各国とも「経済成長」にしのぎをけずっています。しかし、地球が支えられる力を超えて、私たち人間の経済活動の影響力が大きくなってしまった現在、はたして「経済成長」イコールよいもの、という考え方を続けることはできるのでしょうか。

「どのような経済成長ならよいのか?」「成長しない経済というのがありえるのか?」「途上国や地方の経済成長をどう考えたらよいのか?」などを考えていく必要があります。

もう1つ、今後の経済において、重視すべきものが「地域経済」です。グローバル化とIT化によって、どんな地域も日本全国・世界につながっている時代です。しかし、そのような"大きな経済"の一部に取り込まれるのではない、地域のあり方も可能です。

地域にある資源を地域の人たちが活かすことで、地域の人たちが必要とするものを作り、地域の中で経済とお金と雇用を循環していくことは、地域のレジリエンス(しなやかな強さ)と地域の人たちの安心感や幸せを創り出すのです。

それは、地域外に背を向けて孤立するということではありません。全国や世界とつながりつつも、エネルギーや食べ物、お金や雇用など、地域にとって不可欠なものは少しずつでも「自分たちの手に取り戻す」こと。これは今後あらゆる地域にとって考えるべき重要な方向性だと考え、その実現のためにプロジェクトの推進や支援をしています。

【社会について】

「人間」というのは、「人の間」と書くように、私たちは人々の中で生きていく、社会的存在です。宮沢賢治が「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と書いたように、また、リチャード・ウィルキンソンと ケイト・ピケットの研究が「格差が大きい社会ほど、健康問題や社会問題が大きくなる」ことを示しているように、格差や貧困の問題や、社会の中での互いへの信頼や支え合いといった社会関係性資本も、幸せにとって大変重要であるとともに、経済のあり方によって大きな影響を受けます。

日本の場合は特に、これから人口減少・高齢化の進む中で、どのような社会を構築していく必要があるのでしょうか? どのような暮らし方や働き方がありうるのでしょうか? 「これまでどおり」ではない、新しい社会のカタチや人々のあり方が求められる時代であると考えています。そのための勉強や研究、実践や支援を進めていきます。

【現在の問題意識と今後の方向性】

2015年、9月にミレニアム開発目標に代わる2030年までの「持続可能な開発目標(SGDs)」が国連で採択され、12月には温暖化に関するCOP21で、世界中の国が温暖化対策に参加するパリ協定が実を結びました。

風力発電の発電容量が原子力発電のそれを上回るなど、世界中で再エネへのエネルギー転換が大きく進み、世界から遅れていた日本ですら、再エネ・リーダーの九州電力では1日の発電量の20~30%を再エネで発電する日も珍しくなくなっています。

他方、日本でも世界でも格差の拡大が大きな問題となり、日本では子どもの6人に1人が貧困層という、貧困の問題も深刻になってきました。

日本は2020年の東京オリンピックまでは、活発な経済活動が続き、経済の成長・富裕層の増大とともに、地方から東京への若者の流入が続くと考えられます。しかし、同時に、地方だけではなく首都圏の高齢化の問題も大きくなっていくでしょう。

オリンピック・ブームによる好況に目を奪われている間にひたひたと足元が弱化していく――こういった状況が大きく顕在化・深刻化するであろう「2020年のあと」を考えに入れて、どのような事態が起きようと、自分たちの暮らしや地域社会はしなやかに立ち直ることができるよう、レジリエンス(しなやかな強さ)をはぐくみ、レジリエンスのある地域づくりのために、エネルギーや食料、経済活動や雇用を地域に取り戻す取り組みを進めていくことが肝要であると考え、そのための勉強や情報発信、実践の支援を進めています。

【読書会・セミナーについて】

「幸せ」・「経済」・「社会」およびそれらのつながりについて、内外の様々な本を読みながら、学び、議論することで、考えを広げ、深める読書会やセミナーを開催しています。

「世界の幸せ研究の最新の知見を知りたい」「現在の経済のあり方はなぜどのような問題を抱えているのか?」「より望ましい経済とはどのようなあり方や事例があるのか?」「格差や貧困、社会の絆について、これまでの推移や現状、望ましい社会に向けての考え方や取り組みは?」といったニーズや問い、問題意識に応える知的な刺激に満ちた場です。

読書会ですが、大事なポイントを解説し、みんなで考えを深めるワークショップを採り入れて進めますので、課題図書を読む時間がなくても、本を持っていなくても、気軽にご参加いただけます。

2016年1~3月の読書会で取り上げる書籍は以下の通りです。ひとりで読むには手ごわいけど、内容は押さえておきたい、という本も、読書会を活用していただいて、知的刺激として自分のために活かすことができます。

【幸せと経済と社会について考える読書会 東京都市大学・POZI共催】

■日時:1月21日(木)18:30~21:00(開場18:15)
課題書:『1冊でわかる経済学』(パーサ・ダスグプタ 著)

■日時:2月18日(木)18:30~21:00(開場18:15) 
課題書:『世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠』(ジョセフ・E・スティグリッツ 著)

■日時:3月17日(木)18:30~21:00(開場18:15) 
課題書:『善と悪の経済学』(トーマス・セドラチェク 著)

詳細とお申し込みはこちらをご覧ください(1回ごとに参加いただけます)

 

【幸せ経済社会研究所の歩みと創り出してきたもの】

<2011年>
●1月に幸せ経済社会研究所を設立、読書会や勉強会、セミナーを始める。

●2ヶ月後の3.11後は、「みんなのエネルギー環境会議」、総合エネルギー調査 会「基本問題委員会」のほか、エネルギーに関する情報発信や執筆、対話など の活動に力を入れる。

<2012年>
●ひきつづき毎週のように開催される資源エネ庁の「基本問題委員会」で25人の 委員のひとりとして準備・発言しつつ、日本のエネルギー転換・対話による共 創を推進すべく、「エネ女の集い」「エネ若の集い」を主催、「みんなのエネ ルギー環境会議」の活動に参加。

●柏崎市「明日の柏崎づくり」事業の支援スタート。同時に、幸福や幸福度に関 する内外での活動も展開。

<2013年>
●定例読書会やテーマ別勉強会、セミナーを継続しながら、柏崎市の「明日の柏 崎づくり」事業のお手伝いを続ける

<2014年>
●定例読書会、テーマ別勉強会、映画上映会などを続けながら、柏崎市の「明日 の柏崎づくり事業」最終年度の新しい産業のための連続勉強会を開催。 ●パタゴニアとの経済成長を再考するプロジェクト、福島での次世代育成プロジェ クト(半谷エダヒロ塾)を展開。

●Webサイト立ち上げやブックレット出版を通して、持続可能な経済としての "定常経済"の発信に力を入れる

<2015年>
●地方創生の動きを受け、海士町や近江八幡市での地方創生総合戦略づくりのお 手伝い、今後のキーワードとなる「レジリエンス」について、入門書の出版や シンポジウム、講演等を通じて発信と働きかけに力を入れる。

●春から東京都市大での研究室が始まり、18人のゼミ生と学外ゼミや「就活生の 求める情報開示度ランキング」調査、エコプロ展での発表など、次世代を育て ながらともに社会に働きかける活動を展開。

●同時に、定例読書会、テーマ別勉強会も継続、システム思考をわかりやすく伝 えるドネラ・メドウズさんの書籍の翻訳、エネルギー転換に関するレスター・ ブラウン氏の書籍の翻訳など。

こうして改めて振り返って見ると、あちこちからいろいろな機会をいただいては展開してきたのだなあと、ありがたく思います。私や幸せ研にやっていきたいのは、「伝えること」「つなぐこと」「はぐくむこと」。これからもいろいろな機会をいただき、またいろいろな機会を作り出していけたらと思っています。

今年最初のそういった機会は、ブータンのGNHや現状などを直接学ぶ機会です。

<幸せの国・ブータンのこれまで、今、これから> ~ブータン王立経営学院 ソナム・チュキさんに聞く、ブータンの幸せ、経済成長、ジェンダー~

GNH(国民総幸福)で世界的に知られるブータン。この11月に3回目に訪れたブータンは、近代化と経済成長の波が押し寄せる中でも、一生懸命大事なものを守ろうとしているように感じられました。

 

今回、ブータン王立経営学院のソナム・チュキさんの来日にあわせて、ブータンの幸せや経済成長について、現状や今後についても詳しくお話をうかがう機会を設けることができました。また、あまり日本では紹介されてこなかったブータンのジェンダーの現状や課題についても、女性研究者としての視点からお話しいただきます。

 

めったにない機会です。ブータンの現在の姿と今後の模索を直に知り、日本の私たちにとって考えるべきことや学びを共有しませんか。みなさんのご参加をお待ちしています。

 

※本セミナーは東京都市大学と共催で開催します

日 時:2016年1月19日(火)19:00~21:00(開場18:30) 

会 場:東京都市大学渋谷サテライトクラス

資料代:3,000円(税別)

詳細とお申し込みはこちらからご覧ください。


そして、1月23~24日は、じっくりと自分のこれからについて考え、「やりたいことを実際に進めていくためのしくみ」を身につける「合宿」を開催します。今回は成田での開催ですので、全国から、また海外からも参加しやすいと思います。一年の計をしっかり練る時間とプロセスをお手伝いします。
http://www.es-inc.jp/seminar/smn_1kei_2016_winter.html

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