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Case.17

自分たちの食料雑貨店を作って所有しよう!――長年、食料難民だった米国ノースカロライナ州グリーンズボロの人々の試み

(YES! Magazineより)

*この記事は「新たな経済週間(みんなの役に立つ経済の構築をめぐる5日間の話し合い)」の一環として発表されたものです。この日のテーマは「新しい経済は近所にある」でした。

1990年代の終わり頃、長年にわたってフィリップス大通りの周りの人々が利用していた地元のスーパー「ウインディキシー」が閉店しました。ウインディキシーと他の大手食料雑貨店チェーンは商域を分割していたため、採算性があるにもかかわらず閉店する店舗もあったのです。ウインディキシーを失ったことにより、グリーンズボロの北東部は「食の砂漠」になりました。

15年以上にわたり、新たな食料雑貨店をこの地に誘致しようとたくさんの試みが行われました。店舗には採算性があるものの、それは大手企業の株主中心の経済的要求を満たすのに十分な利益はありません。手頃な価格の、良質の食料を手に入れるための「物乞い」のような状況にうんざりしたアフリカ系米国人と低収入の人々が大部分を占めるこの地域の住民は、自分たち自身の食料雑貨店を開くことに決めたのです。

協同組合(*)のビジネスについて学んだ後、住民はコミュニティ所有の食料雑貨店を開くことにしました。その店により、良質の食料ときちんとした賃金の高い仕事を手に入れたいという地域住民の必要は満たされます。そしてそれは現在、実現しつつあるのです。2015年にルネサンス・コミュニティ協同組合がオープンすれば、1時間10ドルの賃金からスタートする標準的な食料雑貨店になるでしょう。

ルネサンス・コミュニティ協同組合のような協同組合は、低収入のコミュニティで、手頃な価格の食料が入手しやすくなる役割を果たすことができるのでしょうか?
協同組合によって、喉から手が出るほど必要な賃金の高い仕事をコミュニティに提供することができるのでしょうか?
もっとも荒廃している地域に、コミュニティの富を作り出すことができるのでしょうか?

「協同組合というのは、白人がたくさんいる十分に豊かで教育が行き届いたコミュニティでしか機能しないのだから、彼らの協同組合にはそのようなことはできない」と信じている人々がいます。

でも、ルネサンス・コミュニティ協同組合は「協同組合をこうした問題を解決するために使うことができる」ことをみんなに示しています。実際、ルネサンスが試みているこの難題は、貧しい有色の人々のコミュニティにみられる豊かな「助け合いの経済発展」の歴史を利用しています。この歴史は、ジェシカ・ゴードン・ナムハード氏の近著『共有する勇気(Collective Courage)』の中で美しく掘り起こされています。

つまり、グリーンズボロ北東部の住民たちは、食料雑貨店が欲しかっただけだったのに、ずっと大きくて重要なことをしているのです。不適格だとはねつける人もいる中で、有色の人々のコミュニティが、自分自身の経済の未来を開発するために力と技量を持つことを実演しています。

この記事は、New Economic Coalitionの第2回「新たな経済週間」のために、YES! MagazineとNew Economic Coalitionが共同で執筆したものです。このプロジェクトは、人々、地域、地球に有効な経済を構築するために何をするかを探索するものです。

*協同組合とは、働き手が誰かに雇われるのではなく、自分たち自身で組合に出資し、労働と経営を行う組織のことです。

 

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