エダヒロの「幸せへ!」コラム
現在の問題意識と今後の方向性(2016.3月)
2016.03.31
動画:「持続可能な開発目標(SDGs)」in 日本語/国連広報センター (UNIC Tokyo)
2015年、9月にミレニアム開発目標に代わる2030年までの「持続可能な開発目標(SGDs)」が国連で採択され、12月には温暖化に関するCOP21で、世界中の国が温暖化対策に参加するパリ協定が実を結びました。
風力発電の発電容量が原子力発電のそれを上回るなど、世界中で再エネへのエネルギー転換が大きく進み、世界から遅れていた日本ですら、再エネ・リーダーの九州電力では1日の発電量の20~30%を再エネで発電する日も珍しくなくなっています。
他方、日本でも世界でも格差の拡大が大きな問題となり、日本では子どもの6人に1人が貧困層という、貧困の問題も深刻になってきました。
日本は2020年の東京オリンピックまでは、活発な経済活動が続き、経済の成長・富裕層の増大とともに、地方から東京への若者の流入が続くと考えられます。しかし、同時に、地方だけではなく首都圏の高齢化の問題も大きくなっていくでしょう。
オ リンピック・ブームによる好況に目を奪われている間にひたひたと足元が弱化していく――こういった状況が大きく顕在化・深刻化するであろう「2020年のあと」を考えに入れて、どのような事態が起きようと、自分たちの暮らしや地域社会はしなやかに立ち直ることができるよう、レジリエンス(しなやかな強さ) をはぐくみ、レジリエンスのある地域づくりのために、エネルギーや食料、経済活動や雇用を地域に取り戻す取り組みを進めていくことが肝要であると考え、そ のための勉強や情報発信、実践の支援を進めています。
JFS「地域の経済と幸せプロジェクト」のめざすもの
世界中で、「持続可能性」が声高に叫ばれています。いうまでもなく、今の世界や社会が持続可能ではないからです。エコロジカル・フットプリントのデータを見ると、現在の人間活動を支えるために1.5個の地球が必要になっています。これは、世界の人口が増え続けていること、そして私たち一人ひとりの、もっと欲しい、もっと使いたいという欲望のせいでもありますが、それだけではありません。
ブータンの「オグロヅルを守る取り組み」
日本では、ブータンのフォブジカという渓谷にある村は、この谷にやってくるオグロヅルを守るために、電線を引かず、電気のない暮らしをしている、と紹介されることがよくあります。「やはり電気が欲しいですか? それともツルのほうが大事ですか?」という質問に、村人が「電気はあればいいけど、なくてもいい。でもツルはそういうものじゃない。くると幸せな気分になれるから。子供のころからずっと見てきた鳥だから」と答えた、というエピソードがブータンを紹介する本にも載っています。
東洋と西洋の知の融合をめざして
日本は東洋と西洋の橋渡し的な位置づけにあります。この日本だからこそ、持続可能で幸せな世界に向けてできることがあるはず――私が10年前にJFSを立ち上げたのもそういった問題意識からでした。
老荘思想研究者の田口佳史先生は、一般社団法人「東洋と西洋の知の融合研究所」理事長も務められ、企業、官公庁、地方自治体、教育機関など全国各地で講演・講義を行い、中国古典を基盤としたリーダー指導によって多くの経営者と政治家を育てていらっしゃいます。田口先生の教えを私なりにお伝えします。
移行期的混乱の中にある日本、その先に見えるものは?
日本は世界に先駆けて人口減少時代に突入しました。日本の人口は2004年の1億2784万人をピークに減り始めました。そのときの高齢化率は19.6%でした。このままの状態が続くと、2030年には1億1522万人(高齢化率31.8%)、2050年には9515万人(高齢化率39.6%)へと人口が大きく減るとともに高齢社会が進行します。
日本の日本による日本のための幸福度指標をめざして
世界各地で「GDPだけではなく、幸福度を測ろう」という動きが盛んになっています。日本でも、これまでのニュースレターでもお届けしたように、あちこちの自治体や地域で、独自の幸福度指標や豊かさの指標づくりが進められています。国としてはどうなのでしょうか?
レジリエンスと定常型経済の国へ向かって
人間による環境への負荷を示す指標であるエコロジカル・フットプリントのデータを見ると、現在の人間活動を支えるために、地球が1.5個必要になっています。地球は1個しかないのに? 私たちの世代は過去の遺産を食いつぶし、未来から前借りをすることで、1個しかない地球が支えられる以上の活動を続けているのです。
シェアする社会へ
JFS ニュースレター 2011年6月号で「今日の"3脱"世代へのメッセージ」として、「暮らしの脱所有化」「幸せの脱物質化」「人生の脱貨幣化」と名付けた動きについてご紹介しました。
自治体の施策推進の原動力としての「さっぽろ"えがお"指標」
先月号の記事「幸せな地域へ! 日本の少なくとも22 の自治体が『幸福度指標』を作成」でお伝えしたように、日本では多くの自治体がそれぞれくふうをしながら、単なる経済の規模や成長率だけではない、住民の幸福とそれを創り出し支える政策に目を向けた指標づくりを始めています。
幸せな地域へ! 日本の少なくとも22の自治体が「幸福度指標」を作成
JFSではこれまで、持続可能性を考えるうえでの大きな鍵である「経済成長」と「真の幸せ」について、社会を動かす指標という観点からもニュースレターなどで取り上げてきました。
エネルギー政策を考える土台としてのGDP成長率の見通しにチャレンジ!
2月号でお伝えしたように、東電福島第一原発事故を受け、今夏までにエネルギー基本計画を作り直すための議論が続いています。私はエネルギーミックスの選択肢を作るために総合資源エネルギー調査会に設定された「基本問題委員会」の委員を務めています。
3.11の教訓 ~ レジリアンスの重要性について その2 経済や社会、暮らしのレジリアンスを高めるために大事なことは?
前号で「何かあってもまた立ち直れる力」「しなやかな強さ」としての"レジリアンス"という考え方を紹介し、東日本大震災は日本の社会や経済が短期的な経済効率を唯一の目標であるかのように追求するあまり、中長期的なレジリアンスを失っていたことを見せつけたのではないかと述べ、レジリアンスを作り出す鍵の1つは「多様性」や「冗長性」だと書きました。社会や経済、私たちの暮らしのレジリアンスを高めるために、3つの大事な(だが、ふだん看過しがちな)ポイントがあると思います。
3.11の教訓 ~ レジリアンスの重要性について その1
3月11日の東日本大震災は、多くの教訓を私たちに残しました。私たちは、単に「現状復帰」という意味での復興ではなく、3.11によって明らかになったさまざまな社会や経済の問題に対処し、本当の意味で持続可能な社会を作っていく必要があります。それこそが、被害に遭われた方々への鎮魂になるのだと信じています。
幸福の指標化についての一論考
これまでのようにGDP(国内総生産)の大きさで社会の進捗を測ろうとするのではなく、社会や経済の最終目的である幸せそのものを測ろうという考え方や取り組みが世界各地に広がっています。ブータンのGNH(国民総幸福)がよく知られていますが、2009年にはフランスで、「GDPに代表される現在の指標では経済社会の実態がうまく捉えられていないのではないか」という問題意識に対し、ノーベル経済学賞受賞者などを中心とした諮問委員会から「サルコジ報告」が出されました。
東日本大震災の被災地・石巻で考えた「自然との共生」ということ
3月11日に起きた東日本大震災は、地震と津波によって1万5000人を超える死者と、今なお1万人近くの行方不明者を出す大惨事を引き起こしました。4月29日から5月10日まで、最も被害の大きかった地域の1つである宮城県石巻市に入り、被災地支援を展開する国際協力NGOジェン(JEN)の現地事務所でお手伝いをしてきました。
お木曳きから「しなやかな強さ」を考える
これからの厳しさを増す時代に、それでもしっかりと幸せに生きていくために、私たち一人ひとりに、そして地域や組織に、国に、何が必要なのだろう?とよく考えます。
私の生涯キーワード(?)である「つながり」もそうですし、よい日本語になかなかならないのですが、レジリアンス(resilience) もそうだと思っています。日本語では「弾力性」「復元力」などと訳されますが、私は「しなやかな強さ」と訳したりします。
「幸せ経済社会研究所」設立記念シンポジウムより、設立の思いと今後の活動について
2011年3月4日、たくさんの方にご来場・ユーストでご覧いただきながら、「幸せ経済社会研究所」設立記念シンポジウム~幸せと経済と社会との関係を見つめ直す~を開催することができました。
設立記念シンポジウムの冒頭、設立の思いと今後の活動について、お話しさせていただきましたので、講演録よりご紹介します。