「一億総中流」と言われたように、日本は「同質・平等な社会」というイメージが強かったように思いますが、近年では「格差」「二極分化」が広がっていると言われ、またそういった実感を伴う現象が多く見られるようになってきました。
「日本での所得格差は大きくなっているのか?」「それはいつ頃からか?」「他国に比べてどうなのか?」など、主観だけでなく統計的に議論するときによく用いられるのが「ジニ係数」です。
ジニ係数とは不平等さを表す係数で、主に社会における所得分布の格差を測る指標として用いられます。イタリアの統計学者・社会学者であるコラッド・ジニによって開発されました。ジニ係数は0から1の範囲で表され、0は完全な平等の状態を示します。つまり、0に近いほど格差が小さく、1に近いほど格差が大きくなります。また、0.4が争乱などが多発する社会不安定化の警戒ラインとされています。
日本では、厚生労働省の「所得再分配調査」や総務省統計局による「全国消費実態調査」などによりジニ係数が算出されています。2009年の全国消費実態調査によると、1980年代半ばには約0.25だったジニ係数が徐々に上昇し、2009年には0.283。「格差が広がりつつあるのでは」という私たちの実感を裏付けるすう勢となっています。
OECD諸国では加盟国34カ国中、最もジニ係数の低いのはスロベニアで0.24、最も高いのはチリで0.49。日本は34カ国中24位で、OECD平均の0.31をわずかに上回る0.33となっています。米国は31位で0.38となっており、格差の大きい社会であることがわかります。また加盟国以外では、ブラジル 0.55、中国 0.41、インド 0.38、インドネシア 0.37、ロシア 0.42、南アフリカ 0.70となっています。