世界・日本の幸せニュース

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近年、「ウェルビーイング(Wellbeing)」という言葉を耳にする機会が増えています。これは単なる「幸福」ではなく、経済、社会、環境の調和の中で、持続的に豊かである状態を指す言葉です。特に2015年の国連SDGs(持続可能な開発目標)の採択以降、日本国内でもウェルビーイングを重視する自治体が増え、独自の指標づくりに取り組む動きも見られます。
カナダでは1990年代からウェルビーイング指標の開発が進められてきました。中心的な役割を担ったのが、社会的・経済的正義を掲げるアトキンソン財団です。1999年、同財団は専門家と共に「カナダ幸福度指数(CIW)」構想を開始しました。2010年にはウォータールー大学内に拠点を移し、その後、8つの生活の質の領域(教育、環境、健康、生活水準、時間の使い方など)を総合的に評価する指標を完成させました。
この指数の特長は、人々の実感を重視している点です。市民の声から「何が生活の質にとって重要か」を抽出し、その内容に即した指標が選ばれています。さらにこの指数は、株価のように数値が上下する形式で提供されるため、国全体のウェルビーイングの傾向を一目で把握できます。
2016年の報告では、カナダのGDPが1994年以降38%成長した一方で、ウェルビーイングの向上はわずか9.9%にとどまっていることが明らかになりました。これは経済成長と人々の暮らしの質が必ずしも一致しないことを示しています。
(新津 尚子)