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アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン 聞き手 枝廣淳子  Interview02

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21世紀に必要なこととは

枝廣:
まだまだお聞きしたいことはたくさんあるのですが、最後にあと二つ質問させてください。一つは私たちの新しい幸せ経済社会研究所について、レスターさんのお考えやご指導をいただけたらと思います。私たちは、本物の持続可能な社会を作るために、福利と幸福、経済と社会の関係について研究しています。本当の変化を起こすために、どのような研究を行うべきでしょうか?
レスター:
去年のちょうど今頃、私は中国版『プラン4.0』を見ながら中国にいました。そして、中国が抱える問題の多くは、中国が西洋の工業国経済をまねようとしている結果、多くの問題が引き起こされたということが突然にわかりました。さらに、「今日、20世紀ではなく、19世紀でもなく、21世紀向けの経済を設計するとしたら、どのような感じになるだろうか?」「その経済の中での暮らしはどのような感じだろうか?」と、自分に問いかけることは、わくわくして楽しいだろうと思いました。その答えは、土地不足、水不足、炭素排出量などを考慮しながら、現在の私たちの経済とは非常に異なるものになるように考えなければなりません。
おそらく今は、19世紀(石炭)と20世紀(石油)の経済をまねるのをやめて、「今日、私たちが望む経済はどのようなものでしょうか?」と新たに考え始める時期なのかもしれません。現在あって今後数十年先にも存在するとわかっている条件で、21世紀の経済を設計するだけです。「21世紀の経済を設計しようではないか?」、それが私たちの現在地です。私たちはもはや20世紀にも19世紀にも生きていないのですから。
枝廣:
それは素晴らしい挑戦ですね。ありがとうございます。

持続可能な未来へ

枝廣:
最後の質問は、「何がレスターさんを幸せにしますか?」です。レスターさんはこの分野で何年も取り組んできました。実際のところ、問題は改善されず、悪化する状況を目にしてきました。しかし、レスターさんはいつでも幸せそうにしていらっしゃいます。何がレスターさんを幸せにするのですか?
レスター:
(笑)そうですね、文明を救うために自分たちがすべきことが実践されているかどうかを示す進捗報告に耳を傾けることです。例えば、1ヶ月ほど前、英国のデビッド・キャメロン首相は、「私たちは2025年までに炭素排出量を50%削減する」と述べました。現時点までに国が表明した中で最も意欲的な目標でした。
アースポリシー研究所のプランBでの私たちの目標は、2020年までに炭素排出量を80%にすることです。2025年までに50%とは同じではありませんが、正しい方向への大きな一歩です。
また、コスタリカやモルジブなどのより小さな国々が2020年頃までにカーボンフリーにする計画です。小さな国々ですよね。英国ははるかに大きな先進国です。スコットランドは例えば2020年までに電力すべてをカーボンフリーにするそうです。
枝廣:
なるほど。
レスター:
徐々に増加するといった周辺的な変化ではなく、突然の飛躍的進歩が見られるようになってきました。地熱エネルギーを豊富に持つアイスランドは、地熱で発電した電気を欧州などへ輸出したいようです。
また、人口を安定化させた国が46カ国あります。日本はそうした国の一つです。ロシアを含む欧州の西部と東部のほぼすべての国々は、ほぼ人口を安定化させました。それは進歩です。まだ先は長いですが、中国と米国はそれほど長い道ではありません。この2カ国で実現すれば、世界にとっても大きな影響を及ぼします。
こうした、持続可能な文明に向かって前進しているという証拠に、私は最もわくわくし、喜びを感じます。
枝廣:
ありがとうございました。
Profile

レスター・R・ブラウン( Lester Russell Brown )

アースポリシー研究所 所長

レスター・R・ブラウン( Lester Russell Brown )アースポリシー研究所 所長

1934年、アメリカのニュージャージー州に生まれる。1955年ラトガース大学で農業科学の学位を取得後、インドの農村に6ヶ月滞在する。1959年、農務省に入省し、国際農業開発局長を務める。1974年、地球環境問題に取り組むワールドウォッチ研究所を設立、1984年に年次刊行物『地球白書』を創刊。2001年5月、アースポリシー研究所を創設して所長となる。著書に『エコ・エコノミー』『フード・セキュリティー』『プランB』など。常に持続可能な社会へのビジョンと、私たちがとるべき行動を明確に示し続ける、環境問題の世界的権威。

Earth Policy Institute
http://www.earth-policy.org/
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