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ホーム > インタビュー > 太田 直樹(6):インタビュー

総務大臣補佐官 太田直樹 聞き手 枝廣淳子 Interview13

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小さな変化が大きな変化と同じ時代に

枝廣:
変化を考えるときによく思うのですが、雪崩が起きる瞬間をスローモーションにすると、ほとんどのところが変わってないけれどあるところが少しずつ変わりだして、最終的に一気に変わるんですよね。
先ほどお話しいただいたことも含めて、いろいろなところで変化は出てきていると思うんですけれど、せっかちな私としてはもっとはやく変化を起こしたいと思った時に、たとえばどんなふうに動けばいいでしょうか。
太田:
雪崩は、物理学で言えば、「臨界状態からの相転移」ですね。雪崩や地震が起きたり、砂山が崩れたりといういろいろな自然現象は、臨界状態になると小さな点が元になって全部がバッと変わります。その時の前提条件は、物理学的にいうと構成要素が自由に動き回っている状態なんですね。
まだ新しい領域ですが社会物理学というものがあって、人間社会に置き換えると、個人が自由な状態になれば、臨界状態になって相転移が起こるというのが、僕が個人的に思っていることです。そうなるとスケールアウトなんていう話ではなくて、小さな点でドーンという変化が起こるはずです。それを物理学でいうとフラクタルといって、典型的な大きさというのがない現象です。小さな変化というのは大きな変化と同じであり、相似形ということになっていくというのは、おそらく社会的にあり得るのでしょうけれども、日本はまだその前提条件がないと思っています。前提条件を作りさえすれば、ポタッという一滴の変化で、ドーンと変わるというのはあり得ると思います。
※フラクタル:自己相似性。全体像と図形の一部分が相似になる性質。

教育の大転換が必要になる

枝廣:
個人がもっと自由になる、その臨界状態をつくり出すために、働き方改革のように仕事に対する考え方が変わってきたり、副業を許すとか企業でもマインドフルネスをやりだしたりするといった少しずつ緩み始めている兆しは感じますが、そのあたりはどうやってほどいていったらいいんでしょうね。
太田:
働き方改革というのはこれからもまだ続いていくと思います。あとはやはり、これも難しいとは思いますが、教育ですね。僕は、教育は大転換すると思っているんです。これまでのいわゆる「教えてもらう」というところから、「自分が学んで、自分が動いていく」というふうに転換していく、今、境目にいると思いますので、そこがたぶん一番大事な領域になるでしょう。
シンギュラリティ(技術的特異点)は2045年とか言われていますけれど、そのときの人はもう生まれているんですよね。今、小学校に入った子が働き盛りになるときにシンギュラリティを迎えるという話です。ですから、これから小学校や中学校の教育がどう変わるのかがすごく大事だと思います。
※シンギュラリティ:人工知能が人類の知能を超える転換点。または、それがもたらす世界の変化のこと。米国の未来学者レイ・カーツワイルが、2005年に出した"The Singularity Is Near"(邦題『ポスト・ヒューマン誕生』)でその概念を提唱した。
書影:『ポスト・ヒューマン誕生』
『ポスト・ヒューマン誕生』
枝廣:
働く人や企業はグローバルにもつながっているし、割と自由に動けますが、教育のほうがもっとがっちり固まっているイメージがあります。さらにそれを固めている文部科学省は一番変わっていないところですよね。NGOもいろいろな働きかけをしていると思うのですが、その中をほどいていくにはどこに希望をもったらいいでしょうか。
太田:
僕は自分の領域のバイアスがかかっているかもしれませんが、リモートワークと同じように、テクノロジーがはいってきたときに子どもさんのことに関していろいろな人がつながっていくんですよね。今、総務省からはじまって、経済産業省と文部科学省で教育の情報化をやっていて、変わってきているところがあります。ただ日本の先生はものすごく忙しいので、先生がそのなかで疲弊しないようなことをやらなくちゃいけないというのが、いま次の段階です。
現場をみていると、うまくいっているところはこども同士で教え合っているんですね。先生は後ろからファシリテーションをしている。そのファシリテーションするところまでに、たぶんものすごく道があったんだと思いますが、教えるということを手放してしまえば、こども同士でやれるというのもあるようです。
僕は楽観的なのか、そういう世界に入ってしまえば、もし先生がパソコンもプログラミングも、というのが大変だったら、飼育係と同じようにIT係というのを作ってみて「はいIT係、準備して」と言って進めたら、ぐらいに考えているんです。ITに関してはすごく秀でた子がどのクラスにもいますから。ただそのあたりは教育委員会などの組織の中にいると変えていくことは難しいので、文科省で志がある方と今、一生懸命やっています。
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